麻の長襦袢は、特に夏の暑い季節に涼しく快適に過ごせるため人気の素材です。
近年の温暖化においては「1年を通して又は真冬以外は麻の襦袢を活用している」という方もいます。
麻の長襦袢が夏の定番とされるメリット、個人によってはデメリットと感じる部分の軽減策など、選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
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麻の長襦袢のメリット
- 涼しさ・通気性・吸水性・発散性: 麻は天然繊維の中でも特に熱伝導性が高く、吸水性・発散性に優れているため、汗をかいても肌にべたつかず、すぐに乾きます。独特のシャリ感も涼しさを感じさせます。
- 自宅で洗える: 多くの場合、自宅で手洗いが可能です。頻繁に着るものなので、手入れがしやすいのは大きなメリットです。
- 丈夫で耐久性がある: 摩擦に強く、繰り返し洗っても傷みにくい丈夫な素材です。
- シワになりにくい(ものもある): シワにはなりやすいですが、シワが取れやすい特性も持ち合わせています。
これらの特性が複合的に作用することで、麻の長襦袢は夏の和装において、まるで「天然のエアコン」のように機能します。肌に触れた瞬間のひんやり感、風が通り抜ける清涼感、そして汗をかいてもべたつかず、すぐに乾く快適さは、他の素材ではなかなか味わえない麻ならではの大きなメリットと言えるでしょう。
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麻の長襦袢のデメリット
麻の長襦袢は素晴らしい素材ですが、人によってはデメリットと感じる点もあります。それらのデメリットについてお話しします。
麻の長襦袢のデメリットとそれに対する見解
- チクチク感(肌触り)
- デメリットと感じる理由: 麻の繊維は比較的太く、ハリとコシが強いため、特に新しいものや、織り方によっては肌にチクチクとした刺激を感じる方がいらっしゃいます。敏感肌の方には特に気になるかもしれません。
- 見解: これは麻の特性の一つであり、メリットである「シャリ感」と表裏一体です。このシャリ感が通気性の良さや涼しさにつながっています。
- 軽減策
- 洗うと柔らかくなる: 何度か水を通し、洗濯を繰り返すことで、繊維がこなれて柔らかくなり、チクチク感が軽減されることが多いです。
- 織り方の選択: 小千谷縮のようにシボのあるものは、肌との接触面積が少ないため、チクチク感が気になりにくい場合があります。また、番手の細いより細い糸で織られた上質な麻は、肌触りが良い傾向にあります。
- 混紡素材: ポリエステルとの混紡素材(例:トスコ麻)は、麻の特性を残しつつ、ポリエステルの滑らかさを加えることでチクチク感を抑えています。
- シワになりやすい
- デメリットと感じる理由: 麻は植物繊維のため弾力性がなく、シワになりやすい性質があります。特に座りジワなどは付きやすいです。
- 見解: シワになりやすいのは麻の避けられない特性です。しかし、これを「風合い」と捉える見方もあります。
- 軽減策:
- 着用後のケア: 着用後はすぐにハンガーにかけ、お風呂場などの湿気がある場所に吊るしておくと、ある程度シワが伸びます。
- 霧吹き+手で伸ばす: 気になるシワは、軽く霧吹きをして手でパンパンと叩いたり伸ばしたりすると目立たなくなります。
- 軽減策:
- 価格が高い
- デメリットと感じる理由: ポリエステルの長襦袢に比べると、麻の長襦袢は一般的に高価な傾向があります。特に上質な本麻は高額になることが多いです。
- 見解: 麻は天然素材であり、栽培から糸、そして織り上げるまでに手間がかかるため、どうしても価格は高くなります。しかし、その分、機能性(涼しさ、吸湿性、丈夫さ)に優れ、自宅で手洗いできるなど、長期的に見ればコストパフォーマンスが良いとも考えられます。夏の快適さを手に入れるための費用と考えることもできます。
- 商品数が少ない(見つけにくい)
- デメリットと感じる理由: 正絹やポリエステルに比べると、店頭やオンラインストアで麻の長襦袢の選択肢が少ないと感じることがあります。
- 見解: 確かに正絹やポリエステルほど大量生産されていませんが、最近では夏の和装の快適性が見直されており、麻の襦袢を扱うお店やブランドも増えてきています。特に呉服専門店や、夏物着物に力を入れているオンラインショップなどで見つけやすいでしょう。
これらのデメリットは、麻という素材が持つ独特の個性と捉えることができます。ご自身の肌感覚やライフスタイル、求める快適さのレベルに合わせて、メリットとデメリットを比較検討し、最適な一枚を選んでいただければと思います。
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麻の長襦袢を選ぶ際のポイント
- 素材の種類と肌触り
- 麻には様々な種類があり、織り方によって肌触りが異なります。
- 肌が敏感な方は、実際に触ってみてチクチクしないか確認することをおすすめします。中には、麻のチクチク感を軽減するために、ポリエステルとの混紡素材などもあります(例:トスコ麻)。
- 「番手」と呼ばれる糸の細さも着心地に影響します。番手が大きい(細い)糸で織られた麻は、より肌触りが良く快適です。
- 麻100%が一般的ですが、ポリエステルとの混紡素材などもあります。麻100%は天然素材ならではの肌触りと吸湿性が魅力ですが、シワになりやすいという特性もあります。
- 絽(ろ)目が入っているものはより涼しげで夏向きです。絽目がない平生地もあります。絽目がはいっているものは平生地よりもへたりやすい点がデメリットになります。
- 着用シーンと色
- 普段着・カジュアルな着物: 麻の長襦袢はカジュアルな着物(紬、木綿など)との相性が良いです。透けることを前提に、あえて濃い色のものを選んでコーディネートを楽しむこともできます。紋織や格子織、淡い色などが軽やかな印象を与えます。
- フォーマルな着物: 麻はカジュアルな印象が強いため、フォーマルな場面(訪問着など)には絽や紗などの透け感のある正絹の長襦袢が適しています。しかし、夏場の暑さを考えると麻を選ぶ方もいらっしゃいます。その場合は、白やごく淡い色で、シンプルなものが無難です。
- 色選び: 白が定番ですが、薄い色付きの長襦袢もおしゃれで、透ける着物の下に合わせると着こなしの幅が広がります。白はどんな着物にも合わせやすく万能ですが、汗染みが目立つ場合があります。薄いグレーやクリーム色、淡い水色やピンクなども、透け感を考慮して選ぶと良いでしょう。
- 単衣の時期: 色付きの長襦袢は、単衣の時期からの着用にも適しており、白よりも着られる期間が長いという意見もあります。単衣の時期で「白色だといかにも麻襦袢だと分かってしまう」と思われる方は麻の色襦袢がおしゃれです。
- サイズと仕立て
- マイサイズが理想: 長襦袢は着物の下に隠れるとはいえ、着姿を左右する重要なアイテムです。自分の体型にフィットするマイサイズの長襦袢は、着崩れしにくく、美しい着姿を保つことができます。特に身丈や裄(ゆき)が合わないと、着姿が崩れる原因になります。
- プレタ(既製品): 今すぐ欲しい場合や予算を抑えたい場合は、プレタも選択肢になります。できるだけ自分のサイズに近いものを選びましょう。
- 単衣仕立て: 夏に着る麻の長襦袢は、単衣(裏地のない仕立て)が一般的です。袖も単衣で作られています。
- お手入れのしやすさ
- 麻は水に強く、自宅で手洗いできるものが多いので、汗をかく季節に重宝します。プレタの場合は洗濯表示を確認し、手洗い可能か、乾燥機は使用できるかなどを確認しておくと良いでしょう。水洗いすると多少縮むことがあるため、仕立ての際に水通しされているか、縮みを考慮して仕立てられているかなども確認すると安心です。
これらのポイントを参考に、ご自身にぴったりの麻の長襦袢を選んでみてください。
麻の長襦袢のまとめ
麻の長襦袢にはメリット、デメリットがそれぞれありますが、夏の着物、特に暑がり汗かきの方にはメリットを感じることが多くあると思います。
お悩みの方やまだ使ったことのない方は一度チャレンジしていただければと思います。
麻の長襦袢を選ぶ際は、ご自身の着用シーンや求める涼しさ、肌触り、お手入れのしやすさなどを考慮して、最適な番手の麻の長襦袢を選んでみてくださいね。
デメリットがあっても、きちんと対策を知っていれば、麻の長襦袢の快適さを存分に感じることができます。
特に、汗ばむ季節に肌にべたつかず、さらっとした着心地は麻ならではの魅力です。少し手間がかかる部分もありますが、それを上回る快適さが得られると感じていただけるはずです。
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