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本疋田絞りと疋田絞りの見分け方とは 2枚の総疋田絞りの違いを比較。

着物を着て出かけたら、声をかけられたり、褒められたり、普段の洋服では経験しないような、新鮮な体験をします。

着物を着ているだけでも、このようなことを体験をしますが、特に着物好きな人から声をかけられたり、褒められたりする着物があります。

その1枚が総疋田絞りの着物です。

手持ちに2枚の総疋田絞りの着物がありますが、本疋田絞りと疋田絞りには、粒の個数や鹿の子の目の細かさに違いがあります。

実際に並べて比べてみて、本疋田絞りと疋田絞りの違いを比較してみました。

疋田絞りの種類

疋田とは京鹿の子絞りと呼ばれる技法の1つです。

鹿の背中のまだらに似ているところから、鹿の子絞りと呼ばれ疋田鹿の子絞りとも呼ばれています。

京都の絞りならではの最高の技術と熟練の技が発揮される絞り染めです。

江戸時代には手間暇かかる贅沢品として、奢侈禁止令で使用を禁じられたといわれています。

疋田絞りの見方のポイント

疋田絞りとは絞り技法の1つで、布目に対して45度の方向に、鹿の子の目を全体にびっしりと隙間無く詰めて染めたものです。

布目に対して45度の方向に引っ張りながらの絞り作業になるので、鹿の子の目の中心は絞りの45度方向、少し上の方向に引っ張られた状態になります。

45度の微妙な目の角度の動きがあります。

本疋田絞りと疋田絞りの見分け方

本疋田絞りと疋田絞りの見分け方のポイント、絞った粒の個数や鹿の子目の細かさにあります。

2つの総疋田絞りを比べてみました。

どちらが本疋田絞りでどちらが疋田絞りでしょうか?

疋田絞り

絞りの粒の個数

疋田絞り…通常は綿糸4回巻きます。

木製の絞り台に専用の針を設置して、その針に布地を引っ掛け、生地を折り、綿糸で4回巻きます。

4つ巻絞り針絞りとも呼ばれているそうです。

 

ピンクの絞りには、19㎝内(約38㎝の半分と考えて)に24粒あります。

でも、もともとの反物幅が分からないので、はっきりとは分かりません。

しかし、粒同士の間が比較的広く、雰囲気からいって疋田絞りだと思います。

鹿の子の目の大きさ

中心の鹿の子の目も、大きさがあります。

やはり、疋田絞りの様です。

見た目や風合い

鹿の子の粒が特別にしっかりと立っているという印象は、あまり感じられません。

生地を触った感触はやわらかい印象があります。

本疋田絞り

絞りの粒の個数

本疋田絞り…絹糸で7回巻き、最後の一回を根元でもう一度巻く。合計8回巻いていきます。

道具は自分で作った紙製の指ぬきだそうで、粒を1つつまみ出して巻くそうです。

 

細かさは反物幅の1尺(37.88㎝)の横1列の中に、何粒絞られているかということで判断します。

1尺に40粒絞られていれば40建て(だて)と呼ばれ、40粒、45粒、60粒と細かくなり、熟練の技が必要となります。

粒の細かさが疋田絞りの価値を左右することになります。

巻く回数が多いほどに鹿の子の目が小さくなり、上質なものになります。

 

濃紺の絞りには、19㎝内(約38㎝の半分と考えて)25.5粒あります。

もともとの反物幅が分からないので、はっきりとは分かりませんが、粒同士の感覚が狭く細いです。

よって本疋田絞りだと思います。

何建てなのかが気になるところですね。

鹿の子の目の大きさ

小さく引き締まった粒です。

こちらの粒の特徴は、染めの境がはっきりとしていることです。

粒は小さいですが、くっきり、はっきりとした印象です。

nuitoriのアバター

ポイントは3つあります。

・1尺の中に何粒並んでいるか

・鹿の子の目の小ささ

・鹿の子の目の染がはっきりしている

見た目や風合い

鹿の子の目がしっかりと立っているので、生地に厚みがあり、よりふんわりとした肌触りです。

実際に着ることで、よりふんわり感や厚みが現れ高級感が感じられます。

総本疋田絞りと総疋田絞りの比較

本疋田絞りと疋田絞りを比べてみました。

1.5粒の違いで、こんなに粒の詰まり具合が違ってきます。

左…25.5粒 右…24粒

写真では分かりにくいですが、2枚を比較すると、生地の厚みやふんわり感、風合いの違いがはっきりと分かります。

見た目の鹿の子の目の立ち具合による立体感の違いは、実物では一目瞭然といった感じでしょうか。

濃紺の方が色が濃いのですが、絞りあげている面積が多い分、全体的に白い印象をあたえています。

nuitoriのアバター

見た目や風合いはかなり違うので、1度見ると記憶に残ります。

 粒の揃い具合

もちろん、粒の大きさや、鹿の子の目の大きさ、向きがそろっているものが、技術が高く美しいです。

 

1反絞りあげるのに、1年~3年かかるといわれています。

見ることができるのは40建て、45建てまでで、60建てはまず見ることすら出来ないそうです。

最近では、機械絞りや中国などの海外で作られる絞りが増えてきているそうですが、中国でも、総絞りを絞れる人が、ほとんどいなくなってきているそうです。

まとめ

本疋田絞り疋田絞りの見分け方のポイントは3つあります。

・1尺の中に何粒並んでいるか

・鹿の子の目の小ささ

・鹿の子の目がはっきりしているか

本疋田絞りは、粒の数が多く密集していて鹿の子の目も小さいので、生地の色が白っぽく感じます。

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