大島紬とは 着物の値段の違いを証紙の種類の違いから知る方法や本物と偽物の証紙の見分け方など

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本場奄美大島紬の龍郷柄の着物

着物に特に興味がない方でも、着物といえば箪笥の中に眠っている大島紬のことを思い浮かべることが多いと思います。

私も誰に教えてもらったというわけでもなく、いつの間にか当たり前のように大島紬という名を知っていました。

そんな着物の中でも知名度の高い身近な存在の大島紬ですが、証紙のことなど、意外と知られていないことも多いようです。

特に大島紬に興味のある方は、証紙の知識があると実際に着物の証紙を見た時に、本物の証紙を知ることで偽物の証紙との違いや見わけ方がわかり、大島紬の選び方にとても役立つと思います。

また今回は私自身も大島紬の証紙の種類の見分け方について、驚くような新たな発見があり勉強になりました。

産地や手織り、機械織りによる、証紙の違いや見分け方が分かれば、着物の価値を正しく理解することができます。

大島紬

織物の双璧と称されている着物愛好家の憧れに、大島紬と本場結城紬があります。

大島紬と本場結城紬の着物の風合いにはそれぞれ特徴があり、大島紬派か結城紬派に好みが分かれる場合もあります。

あなたは大島紬派、結城紬派、どちらですか?

大島紬の歴史

奄美大島では、古くから養蚕と織物が盛んに行われていました。

東大寺正倉院の献物帳には「南島から褐色紬が献上された」と記録されており、これは大島紬の車輪梅(テーチ木染)や泥染の源流であるといわれています。

江戸時代に奄美大島は薩摩藩に支配され、大島紬は薩摩藩への献上品として納められており、それは明治初期まで続きました。

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薩摩藩に献上品として納められていた歴史は、宮古上布とも共通した歴史ですね。

 

大島紬の商品生産は明治初期から始まります。

それまでは様々な植物染が行われていましたが、車輪梅(テーチ木染)と泥染に統一され、針で絣を合わせる方法が考案され絣が鮮明に織り上げられるようになりました。

明治中期に需要が増加したことで、真綿からの手紡ぎ糸の使用から練玉糸が使用されるようになりました。

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練玉糸(ねりたまいと)とは・・・

1つの繭を2頭の蚕が作った繭を玉繭といいますが、その玉繭からとった糸を玉糸といい節のある糸をいいます。

その玉糸を精練してセリシンを除いた、光沢のあるしなやかな糸のことを練玉糸といいます。

銘仙や牛首紬にも使用されています。

 

この頃になると織機も地機から高機にかわり生産量が向上し、大島紬の組合が設立され、大島紬の製品の質の向上と共に高級織物として広く知られるようになりました。

大正中期には、練玉糸から本絹練糸にかわり、光沢感があり滑らかな地風の大島紬が生産されるようになり、現在の大島紬の原型を確立することになりました。

昭和に入ってからは、泥藍大島や色大島、草木染大島などの多彩な商品が制作されるようになり現在に至ります。

大島紬の特徴・定義とは

大島紬の特徴、定義として以下の5つがあります。

・絹100%使用

・先染で手織り

・平織

・締機の手作業での絣加工

・手作業の絣合わせでの制作

 

基本的には高機で織られていますが、例外として、染下地用の白生地や縞、格子に限っては機械織りもあります。

大島紬の制作工程

大島紬の制作工程には36もの工程があり、それぞれを専門の職人が担当している分業制による制作がされています。

図案制作、糸の準備

デザインの原図やイメージをもとに、パソコンを使用し図案を設計すると同時に、必要な糸の量を計算します。

糸繰り、整経

図案に基づき専用の台に必要な糸の長さと本数を揃えます。

糊張り

整経で揃えた糸がバラバラにならないように、糸に糊をつけて固めます。

締機

絣糸を作るために図案に合わせながら木綿糸を使って絹糸を締めていきます。

締機を使って絣筵を織り上げることが、1回目の織りにあたる工程になります。

染色(泥大島の場合)

絣筵をタンニンが多く含まれている車輪梅(テーチ木)の煮汁で20会程繰り返し染めます。

乾燥させた後、泥田に浸し揉み込みます。

この工程を何度も繰り返すことによって、車輪梅(テーチ木)のタンニン酸と泥に含まれる鉄分が化合し、渋くて艶やかな独特な黒色の地色に染め上がります。

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泥染めは、「大島紬」の他に、「宮古上布」「黄八丈」「久米島紬」で行われる独特の染色法です。

準備加工

染め上がった絣筵の木綿糸を解き、1本の糸にします。

染めて解いた絣糸を揃えて並べ、絣部分を保護するために糊張りをします。

機織り

現在は高機を使い手織りで織られています。経糸と緯糸の絣を針で合わせながら織り上げます。

1反織り上げるのに、最低でも1か月掛かるといわれています。

こちらが、2回目の織りといわれています。

製品検査

奄美大島では、本場奄美大島紬協同組合で、幅や長さ色むらの有無、絣の具合をチェックし、合格した反物にのみ専用の証紙が貼られます。

大島紬の制作工程の最大の特徴

大島紬の制作工程の大きな特徴は、締機による絣作りです。

「大島紬は2度織る」といわれているように、締機で経糸に木綿糸、緯糸に絹糸を使って締めることで絣糸を作っています。

力のある男性が締機を使いしっかりと織ることで、よりくっきりとした絣糸が作られます。

締機による絣締法は当初は秘められた技法でしたが、公開されるとこで急速に広まり、より緻密な模様の大島紬が制作されるようになりました。

 

締機で織られた絣糸は筵(むしろ)状なので、絣筵(かすりむしろ)といいます。

大島紬の糸・地風

現在の大島紬の糸は紬糸ではなく、撚りを弱くかけた甘撚りの本練絹撚糸を使用しています。

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本練絹糸とは・・・

一般的な大島紬には、21~28中(糸の太さ)の生糸を用いて経糸には1mに約300回転を、緯糸には約100回転の撚りを掛けます。

次にセリシンを取り除く精錬を行った糸を使用します。

 

また、車輪梅(テーチ木)や泥染で糸を叩いて捻じり上げることを繰り返すことで、泥の粒子により揉まれることで糸が軟らかくなります。

この甘撚りの練絹撚糸と泥染の作業を行うことで、大島紬の特徴である薄手で光沢のある地風やしなやかな手触りが完成されます。

大島紬の色の種類

本場 大島紬 黒無地 純泥染 黒 無地 紬 広巾 羽織 コート キングサイズ 洋服 生地 反物 41.5センチ巾

・泥大島・・・車輪梅(テーチ木)と泥染による染め

・泥藍大島・・・藍染めと車輪梅(テーチ木)と泥染による染め

・藍大島・・・蓼藍と琉球藍のどちらかによる染め

・草木染大島・・・植物染料のみで染めたもの

・白大島・・・白土(カオリン)を使用したもの

・色大島・・・化学染料による染め

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藍のみで染めた藍大島は戦前に多く作られていましたが、現在の生産量がとても少なく貴重な大島紬になります。

地色を染めない白大島の場合でも、化学染料による絣糸を使った場合は、分類的には色大島になります。

大島紬の3県の証紙の種類や違い

奄美大島や宮城県都城市、鹿児島県など産地によって発行されている証紙の種類が違います。

3県の証紙の違いを知っているだけでも、大島紬の見方が変わってきます。

奄美大島の本場奄美大島紬の証紙

1・・・経済産業大臣指定の伝統工芸品として、各組織の検査に合格した製品に発行する「伝統マーク」の証紙

本場奄美大島紬の場合は、「伝統マーク」の下の文字が、「本場奄美大島紬協同組合」になっています。

2・・・本場奄美大島紬協同組合が検査に合格した反物に発行する「地球マーク」の証紙

3・・・テーチ木を用いた泥染の証紙

4・・・テーチ木以外の植物を用いた泥染の証紙

9・・・奄美大島の機械織りの大島紬の証紙

織り口の赤本場

本場奄美大島には反物の織り口に「本場大島紬」と赤い文字が織られてます。

これは奄美の組合の決まりとなっている「赤本場」というもので、必ず反物の織始めに織らなくてはいけないことになっています。

本場奄美大島紬の場合は、この「赤本場」があることと、本場奄美大島紬の証紙が貼られていることを確認する必要があります。

「赤本場」の織り口があるのに、鹿児島県の本場大島紬の証紙が貼ってある場合があるので、注意が必要です。

鹿児島県の本場大島紬の証紙

≪手織りの証紙≫

1・・・経済産業大臣指定の伝統工芸品として、の検査に合格した製品に発行する「伝統マーク」の証紙

本場大島紬の場合は、「伝統マーク」の下の文字が、「鹿児島県本場大島紬織物協同組合」になっています。

5・・・鹿児島県本場大島紬織物協同組合が検査に合格した手織りの反物に発行する「旗印」の証紙。

青色の台紙になります。

 

*「手織りの証紙 」*
経緯絣・・・青色の台紙の旗印の証紙と鹿児島県本場大島紬織物協同組合が発行する伝統工芸品マーク
緯絣・・・青色の台紙の旗印の証紙「織絣」の捺印鹿児島県本場大島紬織物協同組合が発行した伝統工芸品マーク

*○の中に「織絣」の捺印があります。

*手織りの緯絣の場合は「伝統マーク」の下の組合名が、「鹿児島県本場大島紬織物協同組合」になっています。

≪機械織りの緯絣の証紙≫

0・・・鹿児島県の機械織りの緯絣の大島紬の「旗印」の証紙

1・・・鹿児島県絹織物工業組合が発行する伝統工芸品マーク

 

*機械織りの緯絣にも青色の台紙に「旗印」の証紙で、「織絣」の捺印が入ります。

これは、手織りの緯絣と同じです。

実際には台紙の青色にも違いがあるのかもしれませんが、比べてみないと気づかないと思います。

手織りの緯絣と機械織りの緯絣の見分け方は、旗印の右横についている「伝統マーク」の下にかいてある組織名の違いで判断しなくてはいけません。

「伝統マーク」自体は同じなので、マークの下に記してある組織名を確認する必要があります。

緯絣であっても機械織りの場合は、「鹿児島県絹織物工業組合」になっています。

知っていないと、まず確認しない部分だと思います。

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鹿児島県で生産されている大島紬の証紙は、紛らわしいので注意が必要です。

≪注意ポイント①≫

「旗印」の左上橫に「織絣」の捺印の有無!

≪注意ポイント②≫

「織絣」の捺印があった場合は、「伝統マーク」の下に記載してある、組合名を確認!

「鹿児島県本場大島紬織物協同組合」は手織り

「鹿児島県絹織物工業組合」は機械織り

 

 

≪機械織りの縞の証紙≫

8・・・鹿児島県の機械織りの大島紬の証紙

オレンジ色の台紙になります。

 

*「機械織り」*
緯絣・・・青色の台紙の旗印の証紙「織絣」の捺印「鹿児島県絹織物工業組合」が発行した伝統工芸品マーク
縞大島・・・オレンジ色の台紙の旗印の証紙に金色の「正絹シール」

*縞大島には手織りのものもありますが、縞大島は機械織りと同じ証紙が貼られます。

6・・・テーチ木を用いた泥染の証紙

宮城県都城市の大島紬の証紙

7・・・宮城県都城市の都城絹織物事業協同組合が検査に合格した反物に発行する「鶴印」の証紙

証紙の見分け方のポイント

鹿児島県で生産されている「旗印」の大島紬の証紙は、紛らわしいので注意が必要です。

ポイント1・・・「旗印」の左上橫に「織絣」の捺印の有無を確認すること。

ポイント2・・・「織絣」の捺印があった場合は、「伝統マーク」の下に記載してある、組合名を確認すること。

「鹿児島県本場大島紬織物協同組合」は手織り

「鹿児島県絹織物工業組合」は機械織り

本物と偽物の証紙の見分け方

大島紬の反物の織口には上記であげたような証紙がついていて、織物名や織元の名前や商品の規格などの商品説明が記載されています。

伝統的工芸品の場合は経産大臣のお墨付きの伝統工芸品マークが貼ってあるので、真偽に対しての安心材料になります。

偽物の証紙がどのようなものがあるのか、何種類あるのか、巧妙な偽物が次々と出てくるかもしれません。

大島紬の偽物の証紙にどのようなものがあるのかを知るよりも、本物の証紙をしっかりと覚えることで、偽物と判別することが一番の安心材料になります。

「赤本場」の織り口があるのに、鹿児島県の本場大島紬の証紙が貼ってある場合があるなどを認識し、本物の証紙を知ることをおすすめします。

着物を仕立てる際には、どの様なものであるか分からなくならないように、必ず反物の端の織口ごと証紙類と一緒に保管しておくことが重要です。

 

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