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結城紬とは 歴史や特徴 証紙の見分け方 本物と偽物や地機と高機の見分け方

本場結城紬の証紙・「本場結城紬検査協同組合」と「本場結城紬卸商協同組合」の証紙

1956年に重要無形文化財に指定された本場結城紬ですが、着心地の良さ、人気の高さから、市場には偽物も多く出回っているようです。

 

本物の本場結城紬と偽物を見分ける方法として

本場結城紬の証紙・・・一番確実で簡単な方法として、本物の本場結城紬の証紙を知っていることが重要だと思います。

地風・・・軽くて暖かく、手ごたえのある地風といわれていますが、仕立前の本場結城紬は糊付けされているので硬い感触です。

仕立上がりの本場結城紬を地風で見分けられるようになるには、かなり経験が必要かもしれません。

本場結城紬の証紙の勉強をして本物を見分ける目利きになりましょう。

 

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結城紬の歴史

結城紬は、古くから養蚕と織物が盛んな結城地方で生まれました。

子だ緒から現代にいたる結城紬の歴史をたどり、結城紬の特徴がどのように育まれてきたかをまとめてみました。

古代の結城地方

結城は下総国に属し、常陸国と下野国の3国の国境に位置し、現在の栃木県と茨城県にまたがる地域で、そこに流れる鬼怒川沿いに発達しました。

これらの地方は気候風土に恵まれており、麻や穀(ゆう・・・織物をするための樹皮繊維を採取)と共に、桑の葉による養蚕業も盛んに行われていました。

また、養蚕業に合わせて養種業も盛んになり、後に養種の大産地になりました。

このように、麻や穀による織物の技術と、養蚕業による素材の両方が発達していきました。

 

713年に久慈(現在の茨城県常陸太田市)で初めて「 (あしぎぬ)」を織り、この「 」が結城紬の源といわれています。

この「 」が常陸国に広まって「常陸 」となり、やがて「常陸紬」の呼び名に変わりました。

「常陸紬」は鎌倉時代には、質実堅牢さが武士に好まれ結城の産業になりました。

その後、常陸国を治めていた結城氏が、朝廷への献上品として用いたことから「結城紬」の名になったと言われています。

新しい「本場結城紬」の証紙

本場結城紬の反物の織り始めには白い太い糸を織った部分があり、その部分を「カシャゲ」といいます。

この「カシャゲ」には4枚の登録証紙が貼られています。

「本場結城紬検査協同組合」の2枚と「本場結城紬卸商協同組合」の2枚になります。

両方の組合の証紙があるものは、産地紬の検査の中でも最も厳しいと言われる検査課程に合格した正規の本場結城紬といわれています。

最近では、ネットなどで制作者による直接の販売も行われており、「本場結城紬検査協同組合」の2枚の証紙のみ貼られている場合もあるようです。

平成17年6月から新しい証紙にかわりました。

「本場結城紬検査協同組合」で品質検査を受け、厳しい基準に合格した印として貼られてある証紙です。

「本場結城紬検査協同組合」の2枚の証紙

「本場結城紬検査之証」

本場結城紬の証紙・地機と高機の見分け方の証紙・「カシャゲ」の部分の説明

写真のオレンジ色の←→部分が「カシャゲ」です。

「カシャゲ」の織り始め部分にはさんである紙には、織り手さんの情報が書かれてあると聞いたことがありますが、確認したことはありません。

写真では、緑色の証紙に「地機」と記されて「割り印」も押されています。

 

反物の端に4枚並んでいる証紙がありますが、一番右に貼られています。

「地機」・・・緑色の証紙に「結城紬検査之証」と記された左下に「地機」と記されています。

「高機」・・・茶色の証紙に「結城紬検査之証」と記された左下に「高機」と記されています。

「割り印」・・・「結城紬検査之証」と「カシャゲ」部分に「割り印」があります。

「合格之証」

写真の一番左の合格文字の下のピンクの丸部分に「地機」と記されています。

合格文字の上のピンクの丸部分は「平織」なので空欄になっています。

 

反物の端に4枚並んでいる証紙がありますが、一番左に貼られています。

「地機」・・・金色の楕円の証紙の”合格”の文字のに「地機」と記されています。

「高機」・・・金色の楕円の証紙の”合格”の文字のに「高機」と記されています。

「縮織」・・・金色の楕円の証紙の”合格”の文字のに「ちぢみ」と記されています。

「平織」・・・特に記載なしです。金色の楕円の証紙の”合格”の文字の上は空欄です。

平織と縮織の簡単な見分け方と証紙の違い

「平織」・・・反物の端部分が白色の「白耳」になっている。

「ちぢみ」・・・反物の端部分まで地色で織られている。

反物を積み上げた時に反端部分を見て、「白耳」なら「平織」、色がついていれば「縮織」とすぐに分かるようになっているそうです。

 

「合格之証」には、「地機」と「高機」「ちぢみ」という文字が入るものと入らないものがあります。

これは昭和のある年代を境に文字が入るようになったそうです。

「本場結城紬卸商協同組合」の2枚の証紙

本場結城紬の証紙・合格の証・4種類の証紙

「本場結城紬卸商協同組合」が品質を保証したことを記しています。

「紬検査証」「真綿から糸を手つむぎする婦人の図」「結」は1枚の証紙になっています。

「紬検査証」

ピンクの丸部分になります。

中央に「本場結城紬卸商協同組合」、4角に「紬検査証」と記載されています。

「真綿から糸を手つむぎする婦人の図」

黄色の丸部分になります。

竹製の杭にきびがらを付けた「ツクシ」に真綿を絡ませて、糸を細く引きだしている夫人の様子が描かれています。

注:偽物では「機織をしている夫人の図」になっている場合があります。

「結」

緑色の丸部分になります。

結城の「結」の文字を赤字で表してあります。

本物と偽物の結城紬の証紙の違いでは、遠目にも一番分かりやすい部分だと思います。

注:偽物では「紬」の文字になっています。

「真綿手紬糸100%」

水色の丸部分になります。

真綿から手つむぎで引いた糸を100%使っていることを保証しています。

旧タイプの「本場結城紬」の証紙

本場結城紬の証紙・

平成17年6月まで使われていた旧証紙です。

黄色の矢印部分が、「輪」になっていることもポイント!

新しい証紙に記載されている「地機」「高機」の文字はありません。

「割り印」もしっかりと押されています。

終わりに

お着物超初心者の頃、「結」と「紬」の文字や価格の違いに疑問を持ち、店員さんに質問した事がありますが、「結」については「重要無形文化財」「高価ですよ」とはいっても、「紬」については「結城紬ですよ」「お手頃価格です」くらいの、曖昧な返答しかされなかったように思います。

お着物超初心者なので、「結城紬には高価な品物とそうでない2種類の品物があるんだな?」と、まさか偽物が当たり前のように販売されているとは思っていませんでした。

その後、勉強していくうちに ”きもの業界では結構偽物やコピー商品が横行している”という事を知りました。

本物だと思っていたのに後になって偽物だとわかったら、落ち込んでしまいますよね。

着物が好きなのに、着物離れの原因にもなりそうです。

残念な結果にならないためにも、着る側、買い手も勉強が必要になってきます。

「本場結城紬」ではないことを分かって購入する場合は、個人の思いや判断があり納得しているので良いと思うのですが、「本場結城紬」だと説明されて購入した場合は、かなりショックだと思います。

実際にそのようなことがあるようです。

お店選びが大切だと思いますが、自分で興味のあるお着物について勉強することも大切だと思っています。

そして、勉強すると益々お着物が好きになります!

 

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