白山紬(はくさんつむぎ)はご存知ですか?
3大紬の1つである牛首紬は有名で、百貨店などにも特設スペースを用いて展示されていることもあり、ご存知の方も多いと思います。
白山紬に関しては、「名前は聞いたことがありけれど、どんな着物なのかあまり知らない」という意見が一般的かもしれません。
私も、そのような感じで「石川県で織られている織物」という程度の認識でした。
今回は白山紬はどのような織物なのか、牛首紬との比較なども含めてまとめてみました。
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白山紬の歴史
白山紬(はくさんつむぎ)は、もともとは石川県白峰村で織り出された紬で現在の牛首紬と同じ起源でした。
しかし、その後、白峰で登録商標として生産していた機屋が昭和初期に廃業になったのを機会に、他の機屋が登録商標を譲り受けて、金沢市内で「白山紬」という名称で生産するようになりました。
白山紬は、機械動力式の織機である力織機(りきしょっき)で織られている紬織物として、登録商標されています。
白山紬の特徴
白山紬の特徴、魅力の1つに、紬織の着物に風合いを与えてくれるところどころに存在する節糸があります。
白山紬に使われている糸は、経糸は生糸で緯糸のみ節糸が使われています。
白山紬に使われている節糸は、人工的に生糸に節のようにところどころに太い部分をつけ風合いを作り出した「スラブヤーン」という糸を使っています。
後染めの紬として、染め上がりの艶や裾さばきの良さ、丈夫な地風などが特徴となっていて、紬ならではの渋さや深みに加え、紬でありながら光沢感による華やかさも感じられます。
光沢があり丈夫でしっかりとした生地なので、着物に仕立てたときに裾さばきのよさや風合いの良さを感じられるきものになります。
白山紬と牛首紬の違い
白山紬は、機械動力式の織機である力織機(りきしょっき)で、緯糸にスラブヤーンといわれる人工的に作られた節糸を使い織られています。
牛首紬は、高機で投げ緋を使い手織りで、緯糸に玉繭を手引きにより引き出した玉糸を使い織られています。
白山紬と牛首紬では、織り方や使われている糸が違いますが、出来上がった反物は風合いがとてもよく似ています。
白山紬の染め上がりの艶や裾さばきの良さ、丈夫な地風は、牛首紬と比較しても勝るとも劣らないといわれています。
牛首紬は玉繭からの手引きの節糸である玉糸を緯糸に使用されていますが、元来の経糸緯糸共に手引きの玉糸で織られている着物を復元されたりなど、高級なイメージがあります。
一方、白山紬は、力織機により織られていることが知られていて、緯糸に人工的に作った節糸を用いられていることを知っている人は少ないと思いますが、そのようなことで手に入れやすい価格帯になっています。
白山紬と牛首紬の着物の生地としての違いがわかるのか?が気になる所ですが、専門家や呉服店に関わっている方には、触ることですぐに分かるといわれています。
白山紬は、生地が薄くて固く感じ、牛首紬は、しっとり柔らかく白山紬と比較すると生地が厚く感じるといわれます。
以前、「昔の牛首紬は生地がしっかりとしていたのに、それに比べて最近の牛首紬はペラペラな感じがして全然違うのよ」と言っていた方がいましたが、もしかしたら、白山紬と牛首紬を比較してそのようなことを言っていたのかもしれませんね。
機械織りと手織りとの違いによる風合いの違いはもちろんですが、白山紬の緯糸に使われている節糸が人工的に作られていることが、生地の強さがの印象の異なる原因になっているように思います。
やはり、人工的なものは整いすぎているのだと思います。
織物はどのような糸が使われているか大切だと聞きます。
まとめ
白山紬の歴史
- 現在の牛首紬と同じ起源だった。
- 現在は金沢市内で「白山紬」という名称で生産している。
白山紬の特徴
- 艶や裾さばきの良さ、丈夫な地風などが特徴
- 紬ならではの渋さや深みに加え、華やかさも感じられる。
白山紬と牛首紬との違い
- 緯糸に人工的な節糸である「スラブヤーン」という糸を使っている。
- 力織機で織られている。
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