築城則子さんの小倉縞(小倉織)をご存知ですか?
日本工芸会正会員である築城則子先生の小倉縞(小倉織)の作品は、日本伝統工芸展で拝見することができます。
日本伝統工芸展の本展ではもちろんですが、富山支部展、石川支部展でも拝見することができます。
主に小倉縞(小倉織)の帯ですが、木綿糸とは思えない糸の細さやしなやかさ光沢感が印象的で、経糸による縞のグラデーションが美しい作品が一際目を引きます。
いつも溜息交じりで作品を拝見していますが、大好きな築城則子先生の小倉縞(小倉織)について勉強してみたいと思います。
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築城則子の小倉縞(小倉織)
小倉織とは?
・小倉織は、江戸時代の豊前小倉藩(現福岡県北九州市)の特産品として良質の木綿糸で織られた経縞の布で、丈夫で艶があり武士の袴や帯、庶民の実用品として使われていた。
・明治時代に小倉織を真似た織物が機械生産されるようになり、手工業品の小倉織は衰退の一途をたどり、戦時下の昭和初期に一旦途絶える。
・平織の縞織物
・緯糸に対して約2倍の密度の経糸で構成されていた→男帯や袴に適した丈夫な布に織あがる
築城則子のプロフィール
・早稲田大学文学部中退、染織を志して、久米島、信州などで紬織を学ぶ。
・1984年…小倉織復元
・1994年…小倉縮復元
・1995年…遊生(ゆう)染色工房設立
・東京国立近代美術館、北九州市立美術館、Victoria and Albert Museum(ロンドン)に作品収蔵
築城則子の小倉縞とは?
・緯糸に対して3倍の経糸を使用する。(小倉織は緯糸に対して2倍の経糸を使用)
・35センチ幅の綜絖に2300本の経糸を使用する。
・経糸の密度を上げることで、しなやかさと艶を兼ね備えた女性の帯に適した「小倉縞」を実現した。
・緯糸が表に現れず、経糸の色だけで縞が織り出される。
・色の豊かなグラデーション
・高密度の布を織るための技術の高さが必要である。
・色の配列、色の世界、縞の揺らぎが大切である。
築城則子監修の「小倉 縞縞」
築城則子先生がデザインを監修しているテキスタルブランドに「小倉 縞縞」があります。
小倉織の丈夫で美しい縞の特徴を活かした生活凡用品を機械織りで生産しているブランドです。
「工芸における実用性からみた社会との関わり方」「工芸の社会性の発揮」「社会と関わってこその工芸」を考えて活動されているようです。
「小倉 縞縞」の布地を使って名古屋帯を作ったら~なんて考えていましたが、半幅帯の商品があるようです。「縞縞 半幅帯」
小倉縞の帯とはもちろん風合いが違うと思いますが、どれくらい違うのか興味のあるところです。
小倉縞の着物は持たせて頂いたことがありますが、木綿とは思えない軽やかさとしなやかさに驚きましたが、帯はどのような風合いなのでしょうか?
個人的には小倉織の帯の艶やかさに惹かれるので、一度実物に触れてみたいです。
終わりに
築城則子の小倉縞がこのように表現されてありました。
「永遠に動きつつ永遠に交わることはないが、つねに揺れながら、どこかで交わるかもしれない気配をたたえた無数の平行線」
究極の文様といわれている「縞」ですが、繊細な細い糸を用い、色のグラデーションを表現することで粋なイメージだけではない女性らしいしなやかさ、はかなさを感じられるのが、築城則子さんの小倉縞だと感じました。
写真では伝わりにくいと思いますが、実際の作品は本当にドキッとして引き込まれてしまう、美しい織物です。