加賀友禅の重鎮作家先生の名古屋帯「鶴の恩返し」に加賀繍であしらいを施しています。
加賀友禅は刺繍や箔使いがされていないイメージが強いのですが、木村雨山先生の時代の加賀友禅作品には現代の加賀友禅作品よりも自由な作品を見ることができると思います。
あくまでもあしらいなので、加賀友禅を引き立てることに注意して・・・
かつ、加賀繍が貧弱になるもの好ましくないので「良い加減」が重要です。
まだ何も手を加えていない加賀友禅の名古屋帯です。ここからスタートします!
作品名「鶴の恩返し」
加賀友禅に加賀繍のあしらい
第1工程 羽の芯のあしらい
舞い散る鶴の羽のあしらいですが、まずは羽の芯部分から初めていきました。
写真では少し分かりづらいですね・・・
芯部分は「まつい繍」で繍っています。
紫の羽の♡形部分は「中陰繍」で繍っています。
「中陰繍」は今回初めてでしたが、意外と面白かったです。
第2工程 羽の本体のあしらい
大体の繍い方を説明していただいたのですが、具体的にどう繍かとなると、なかなか難しいものです。
何度か繍ってみて答えが出ず一晩考えて、長短の針足で暈すようなイメージにしてみました。
過去に勉強した「暈し技法」の応用編です。
上手くいかない時は、刺繍台から離れて冷静に考えることも大切だと感じました。
後に先生にアドバイスをいただき、2針加えたらもう少しいい感じになりました。
第3工程 8枚の羽全てにあしらい
今回のあしらいは、鶴の部分には一切手を加えずに、舞い散る羽部分にのみあしらいを施すことにしました。
山吹色の羽の芯部分に細い金糸を添わせようかと思いましたが、今回は色糸のみで仕上げることにしました。
私自身の傾向として、ついつい「盛りたくなる」のですが、今回は「羽のみへのあしらい」ということでお太鼓部分のあしらいは完成しました!!!
「鶴に手を加えない」あしらいがお気に入りポイントの1つです。
加賀繍のあしらいの効果はいかがでしょうか?
加賀友禅と加賀繍の両方の良いところを引き立てられれば嬉しいです~!
終わりに
今回は特に絹糸分の幅を意識して取り組みましたが、意識し過ぎると隙間ができたり、その逆もありと少しの意識の持ちようが繍に現れる難しさを感じました。
あしらいの場合は時間的に短く済み次の工程に進むのが早いので、行き詰まった時や楽しい気持ちを取り戻したい時にはちょうど良かったです。