バナナ(芭蕉)の木の中には、「実芭蕉」と「糸芭蕉」があり、「実芭蕉は」食用として食べられるバナナの実がなる木で、「糸芭蕉」は芭蕉布の繊維、糸の材料となる木です。
「糸芭蕉」の木は、成熟するまでに3年かかるといわれていて、昨今の温暖化の影響から糸芭蕉の繊維も変化してきているようです。
糸の紡ぎ方は、「はた結び」と「撚りでつなぐ」2つの方法があります。
独特の張りがある芭蕉布の着物は、着るほどに繊維が軟らかくなり体に馴染みやすくなるといわれています。
芭蕉布の帯も新しいものほど繊維がしっかりとしていて強い張りがあり、思いのほか帯結びにてこずる場合があるようです。
沢山着て体に馴染ませて、愛着のある1枚に育てていきたいと思います。
生成り無地の芭蕉布のきもの
ネップが確認できる部分は「はた結び」で糸を紡いである部分です。
無地の芭蕉布は、織ムラや色ムラが目立ちやすいことから、芭蕉布の糸選びや織りの工程においても気を使うといといわれています。
この生成りの無地の芭蕉布の着物を選んだ時に、お店のご主人が「玉那覇有公さんに紅型を染めてもらいたかったのに」と遠くで小さく言っていたことが思い出されます。
芭蕉布の着物は、第1回目の「きもの熱」発病の時、まだ自分の着物の好みの格となる部分がはっきりせず揺らいでいる時に、熱い思いが高まった着物です。
当初から無地感覚の着物が好きでしたが、まわりの「やっぱり、絣よね」と聞けば、その言葉に誘惑されフラフラ状態だったように思います。
結局「初心に戻る」ではありませんが、「無地感覚きものが好き」と思える今は、愛着のわく1枚になっています。
「きもの熱」に侵された場合、初期の頃は、見る着物、帯全てが素敵に見えてしまい、冷静さを失いがちですが、「無駄なお勉強」をしないためにも是非ご注意ください。
理性では分かっていても、感情が抑えられないのが「きもの熱」の恐ろしいところです。
「きもの熱」が収まって冷静さを取り戻したら、次は「きもの沼」の始まりですよ。
琉球藍染め絣の芭蕉布の名古屋帯
緯糸に琉球藍で染めた絣糸と車輪梅で染めた糸を使った、緯絣の芭蕉布の九寸名古屋帯です。
開き仕立てに仕立ててあるので、帯前の幅を好みの幅に調節することができます。
盛夏に使う場合は、帯芯に加え裏地が付いてしまうと更に暑くなってしまうので、通常の名古屋仕立ての方が涼しく使用することができます。
拘りを追及するか、涼しさの使い心地を優先するか、両者のせめぎ合いですね。
少し上下に斜めにしてずらして帯前の幅を広くすることができるので、その方が楽でいいかもと思い始めています。
洒落着の場合は、着付けしやすいことも優先順位が高いポイントなので、今後もっときものを楽しむ為にも、取り入れたらいいのかもしれません。
「道明」の白鼠(しろねず)の冠組の帯締め
「道明」さんのインスタグラムで紹介されていた白鼠(しろねず)です。
画像を見て一目惚れしてしまった道明の色名です。
銀鼠よりもひとまわり明るい鼠色で、墨の濃淡を五つの段階で区別する「墨の五彩」の中の1番淡い色目になります。
「墨の五彩」とは、焦→濃→重→淡→清の順に淡い色目になっていきます。
白鼠(しろがねいろ)とも呼ばれており、白は「明るい」を意味しています。
お勧めの合わせ方は古代紫の上にということでした。
今回は芭蕉布の絣の帯の上に置いてみたところ、芭蕉布の持つ野性味を消し去り、シックなんだけれども凛とした華やかさを感じるコーディネートになりました。
この組み合わせで白鼠が持つ色の気品を感じることができ、大好きなお気に入りの帯締めになりました。
購入して大正解の帯締めです。
蜻蛉の刺繍の生成りの絽の帯揚げ
活用頻度の高い生成り色の絽の帯揚げです。
レフ版効果を狙った場合、効果を発揮する薄い色目の帯揚げで、無難で合わせやすいこともあり、ついつい合わせてしまいます。
同色で蜻蛉の刺繍が施されていますが、ほぼ見えていません。
上級者の方ほど小物の色選びにも敏感で素敵な組み合わせをされているので、勉強のやりがいのある部分だと思います。
帯締め同様に帯揚げの色合わせで、きものの印象が変わってしまうので色合わせは深くて面白いですね。
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