「師は3年かかっても探せ」
「たとえ長い年月をかけても、良い師を探すことは重要なことである」という意味ですが、何かを習いたい、技術を会得したいと思った時、誰に師事するかが重要だということです。
この言葉は武道の世界で使われていますが、武道に限らず「〇〇道」と呼ばれる世界に共通する考え方だと思います。
「繍道」「装道」「茶道」「香道」「書道」など和に関するこれらの習い事にももちろん共通していると思います。
教室に通ってみたけれど・・・やっぱり、しっくりとこない・・・
習い事自体は好きなのに、なぜか教室に行くことが楽しいと思えなくなってきた、行くのが億劫に感じるようになってしまったということはありませんか?
せっかく興味があり始めた習い事です。
このような残念なことにならないように、また時間や費用をかけて中途半端に終わってしまわないようにしたいものです。
良い指導者とはどのような指導者なのか、自分にあった教室とはどのような教室なのか、私自身の経験も交えて大人の習い事での自分にあった教室の探し方を考えてみました。
良い指導者の条件とは
良い指導者の条件とは、シンプルに考えると、その指導者の人間性、知識や技術の豊富さだと思います。
指導者との相性
指導者との相性はかなり重要なポイントです。
教える立場と教わる立場になりますが、やはり人間対人間です。
教わる立場としては、根本には指導者のことを尊敬したい気持ちがあり、指導者に対しての尊敬の気持ちや好きという気持ちがもてるからこそ、教わりたいと思うのだと思います。
1回の見学でどのような指導者なのか判断することは難しいですが、自分が好意的に感じることができるか、自分の感性が頼りになります。
指導者との相性に関しては、違和感を感じた時点で早めの対応が肝心かと思います。
私に関しては、何か違和感を感じたとしても長く続けたい気持ちがあるので、何とか踏みとどまろうとするのですが、結局は自分の心が向かわなくなってしまい、一時的にお休みして最終的には離れてしまうことが多いです。
教える事が上手な指導者
良い指導者の条件として、「相手にわかりやすい言葉で伝えることが出来る」「相手の持っている情報を理解することが出来る」「相手を自分のルールに縛りつけようとしない」などがあげられます。
どんなに知識が豊富で技術が高くても、相手に伝えることが上手ではない場合もあります。
教えることが好きな指導者かどうかということになりますが、見学時にも何となく感じることは出来ると思うので、なるべく見学に行くことをお勧めします。
私が教室に行く第1の魅力は、「自分1人では気付けない、新し学びが出来る」ことです。
自宅で練習や課題を進め、教室で指導者に見てもらった時に、「ここは良くできているね」「ここはもう少し○○したらいいね」などの教えをいただけることが、自分では得ることが出来ない学びなのだと思います。
指導者にどのような評価をされるのか、自分が行っていることはどのようなレベルなのか知りたくてワクワクしているのに、無反応で「では次」で終わってしまったら、がっかりしてしまいます。
今も理解できていないトラウマ的存在の「ある言葉」があります。
私は新しいことを始めると、そのことに夢中になり熱中する傾向がありますが、課題以外のことを自主的に行うことはしていませんでした。
ただ課題をこなすことを繰り返しているだけなのに、何度も言われた「ある言葉」には、かなり苦しめられました。
「始めた当初に気持ちが熱いと長続きしないことをいわれているんじゃないの」という意見もありましたが、多くの場合は不思議がられました。
私の「もっとやりたい」「上手になりたい」という気持ちが多少強かったのかは分かりませんが、気持ちの熱い時にその気持ちを持て余して取り組むことで、それなりに苦悩を感じていました。
実際には、「ただ気分転換に」「日常のスパイスに」「同じ趣味同士楽しく」などの場合もあると思いますが、「上手になりたい」という気持ちは、どんな場合にも共通しているのではないかと思います。
愚痴のような個人的な教わる側の意見になってしまいましたが、教える側の意見もあると思うので、コミュニケーションは大切だと思っています。
教わるということは、最終的には「生徒が自分1人で出来るようになる」ことが最低限の目標だと思います。
教わる側の責任もあると思いますが、何年も習っているのに基本的なことも自分で出来ることができなかったら、どんな指導を受けてきたのか?自分は何を習っていたのか?と疑問を持ってしまいます。
何処で習っても最終的には自分の学ぶ力が大切だと思いますが、教わる側の思いとしては、学ぼうとする生徒の持つ力や個性に合わせて、能力を引き出してくれるのが良い指導者だと思います。
そのような良い指導者に巡り合えたら最高ですね。
利益優先ではない指導者
残念ながら大人の習い事に限らず、利益主義の指導者は多いと思います。
指導者が会得した技術や知識を教えていただくのですから、対価を支払うのは当然なのですが、枠を超えてしまう指導者がいるのも現実です。
過去に利益主義の指導者に当たったことがありますが、使用私物の中古品を新品と偽っていたり、私用の買い物を言いつけ支払いはせずになど驚くことがありました。
古くからの師弟関係を重んじる指導者だったので、一般的にはこのような例は稀だと思いますが、「このような事もある」ということで、注意しなくてはいけません。
良い教室の条件とは
通いやすい場所や環境、良心的な料金でしょうか?
良心的な料金に関しては、いろいろ思うところもあり難しいところです。
通いやすい場所
近くて通いやすいのが一番ですが、近くに教室自体がなかったり希望の指導者が遠方にいたりする場合も多いと思います。
自分が通える範囲でということになりますが、理想をいえば県外であっても習いに行きたいです。
隣県くらいなら十分に可能ですが、新幹線などの交通機関を使わなくてはならないとなると、体力、時間、家族の理解、金銭的余裕がないと難しい部分があると思います。
いつか、習いに行きたいな~
良い環境とは
教室の雰囲気や環境は意外とじわりじわりと影響してきます。
特に楽しみを目的にしている大人の習い事では、教室の場の雰囲気作りが重要になると思います。
お洒落で素敵な教室で、お洒落な指導者に習っているだけで気持ちが高まるというものです。
いろいろ準備することが多くて、他人に教える、指導するって大変なことですね。
良心的な料金システム
習い事にはそれぞれ平均的な目安があると思いますが、その教室によって付加価値もあると思うので自分が納得のいく教室ということになります。
「時間とお金の無駄使いにならないように、その分野の最高値の指導者に師事する」という考え方もあるようで、この考えに対しては納得する部分もおおいにあります。
「長く続けたい」「極めたい」と思う場合は、満足できずに途中でやめてしまうよりも、妥協せずに選ぶことも大切かと思います。
教室内の人間関係
どのような環境においても、人間関係が気になるものですが、目的に応じて取り組むのが良いと思っています。
楽しむために習い事をしたいのか、何かを習得るために通っているのか・・・
楽しむために習い事をしたい場合は、人間関係が大きく影響するので関係作りに気を使います。
難しいというか、面倒というか、人間関係は永遠の課題です。
出来れば、何かを習得することを目標として大人の習い事をしたいと思っています。
終わりに
いろいろな大人の習い事がありますが、その世界に入ってみると意外と小さく狭い世界だと感じるとこが多いと思います。
武道に長年携わっている父に「師は3年かかっても探せ」という言葉を教えてもらいました。
教える立場と教わる立場、それぞれの立場での意見があると思いますが、最終的には双方の関係性が基本になるのだと思います。
あまり深く考えずに「近くにあって通いやすいから」「調べるのが面倒だから」「誘われたから」と安易に決めてしまって、後から「習い事自体は好きだけど、指導者との相性が問題」とならないように、良い指導者と巡り合えるよう納得のいく教室選びをお勧めします。
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