牡丹と蝶の花丸紋の加賀繍です。
駒塩瀬名古屋帯のお太鼓部分の加賀繍が完成しました!
お気に入りポイントは
・「虫喰い」「わくらば」・・・加賀友禅の技法を取り入れている。
・牡丹の花の暈し具合・・・繊細な色味の変化や暈し。
・カラフルな蝶・・・牡丹の花と対照的な色使い。
牡丹と蝶の花丸紋の加賀繍完成!
牡丹と蝶の花丸紋の加賀繍・お太鼓部分の刺繍の流れ
牡丹と蝶の花丸紋の加賀繍①
牡丹と蝶の花丸紋の加賀繍①では、ここまで繍っていました。
牡丹3つに蝶3つと順調に進んでいましたが、中だるみでしょうか?
ここから少々失速してしまいます。
牡丹と蝶の花丸紋の加賀繍②
蝶の「引き込み」と葉の「虫喰い」「わくらば」の暈し
蝶の「引き込み」
蝶の部分には深緑のラインに「引っぱりとじ」の技法が使われています。
最後の処理に表に出ている糸の「引き込み」が必要です。
この「引き込み」は出来栄えにも影響し、細かな作業でひと手間必要なので、取り掛かる前に気持ちを引き締めます。
葉の「虫喰い」「わくらば」の暈し
加賀友禅に用いられる「虫喰い」「わくらば」ですが、加賀繍にも変化をつけるために用いています。
普通に1色で仕上げるよりも数倍の手間、時間を費やしますが、暈しが入ることで単調にならずに奥行が出ると思います。
繍での暈しはとても繊細で目を引くので、大好きな技法です。
葉の形(デザイン)を変更と牡丹の枝
葉の形(デザイン)を変更
左上の蝶の下にある2枚の葉のデザインが変化していろのが、分かりますか?
葉の色を間違えてしまい、蝶の下の葉の色が、葉に使われている3色の中の一番薄い色になってしまいました。
薄い色の葉が奥にあるのに違和感があり2枚の葉のデザインを変更しました。
思いがけない展開になりましたが、これはこれで結果往来という流れになりました。
牡丹の枝
牡丹の枝も1度繍い直しました。
上の写真が初めに繍った枝で、下の写真が繍い直した枝です。
リアルなかっこいい枝ぶりを思い描きましたが、意識し過ぎておかしくなってしまったので素直に繍い直しました。
すっきりとした枝に仕上がったと思います。
どこまでリアルを求めるかは、楽しい面白い課題だと思いました。
牡丹の葉の葉脈と花粉・まつい繍の葉脈の修正
牡丹の葉の葉脈
シンプルに葉の色と同色での葉脈です。
辛糸を作って1本1本とじ付けていきます。
加賀繍を始めたときから、どの技法に対しても苦手意識を待たないようにと取り組んできましたが、「引っ張りとじ」に必要な辛糸作り、引き込みの技法に対しては少々苦手意識?手間のかかる技法という意識を持つようになってしまいました。
それでも以前よりは解決策により少しは苦手意識が少なくなったかな?
牡丹の花粉
3か所の花粉には同色ですが、金糸の本数を0本~2本と変化をつけてあります。
微妙な違いなのですが、金糸の出方での雰囲気の違いなどがあります。
実際に繍ってみることで分かることが多いので、小さな部分でもいろいろ試してみることが楽しく感じます。
まつい繍の葉脈の修正
まつい繍は難しいですが、楽しいと思える技法です。
牡丹のはの葉脈は葉の端まであるということで、かなり足りないと思ったので葉脈を足しました。
まつい繍のコツがつかめるように、集中的にまつい繍の勉強をしてみたいです。
花の丸とは?
「花の丸」に似た「丸文」を想起する文様に「有職文」があります。
元禄に流行した「花の丸」が、この「有職文」にヒントを得て形作られた文様です。
「花の丸」とは色々な草花を円形に図案化したもので、「花」は特定されることはなく、何を使っても良いといわれています。
1つの花だけでなく、数種類を組み合わせて形作られているものもあり、優雅な古典文様である花丸紋は能装束や小袖、現代の着物や帯の柄に幅広く使われています。
この「花の丸」は、「加賀紋」にも見ることができます。
この紋は「しゃれ紋」であり、何の花を使っても自由で自分の誕生花や季節感溢れる花を使う場合も多いです。
これは、「花の丸」文様そのものが、「自由な発想」で描くことの出来る図案ということの表れと言われています。
終わりに
途中、失速してしまいましたが、無事にお太鼓部分の刺繍が終了しました。
デザインや配色はとても難しいですが、特に気になる色について意識していきたいと思っています。
刺繍の場合、生地の色目によっても刺繍糸の色の出方が違うところが、面白いところだなと思います。
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