着物や帯には、大きく分けて染めと織りがあります。
蚕を育てたり麻や木綿を栽培し糸にして糸を染め、1枚の布に織り上げる昔から行われている方法です。
現在も、日本全国で産地の特徴を活かした、沢山の種類の織りの着物や帯が作られています。
日本の重要無形文化財、ユネスコの無形文化遺産、伝統的工芸品の織物を中心に、産地や作家物の着物や帯の歴史や特徴をご紹介します。
結城紬とは
結城紬の産地の歴史
茨城県結城市を中心に鬼怒川沿い一帯の茨城県、栃木県小山市で織られている平織の絹織物です。
結城紬は日本3大紬の1つで、国の「重要無形文化財」に指定されています。
結城紬の特徴
国の重要無形文化財に指定されている結城紬
- 「糸紡ぎ」・・・経糸、緯糸共に真綿から引き出す手紡ぎ糸を使用する。
- 「絣括り」・・・手括り(てくくり)で絣糸を作る。
- 「機織」・・・地機で織る伝統的な技法で作られる。
以上の3つが昭和31年に国の重要無形文化財の指定を受けました。
証紙においては、旧タイプの「本場結城紬」の証紙から、平成17年6月から新しい「本場結城紬」証紙にかわっています。
証紙の種類によって、地機や高機の違いや本物と偽物の違いがわかります。
「本場結城紬」の地機と高機の見分け方や偽物と本物の見分け方を知り、目利きに役立てましょう。
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結城紬とは 結城紬の証紙の見分け方 本物と偽物や地機と高機の見分け方について
大島紬とは
大島紬の産地の歴史
鹿児島県奄美大島、鹿児島市周辺、宮崎県都城市で織られている平織の絹織物です。
- 奄美大島で作られている物・・・「本場奄美大島紬」
- 鹿児島市周辺、都城市で作られている物・・・「本場大島紬」
大島紬は、世界三大織物の1つであり、日本三大紬の1つでもあります。
*世界3大織物・・・日本の大島紬、フランスのゴブラン織、ペルシャ絨毯
*日本3大紬・・・大島紬、結城紬、牛首紬(塩沢紬の説もあります)
大島紬の特徴
名前に紬と付いていますが、現在は紬糸は使われておらず、経糸緯糸共に絹糸を用いて織られる平織の絹織物です。
大島紬の代表的な特徴は、
- 「泥染め」と「締機(しめばた)」
- 大島紬の3県の証紙の種類や違い
- 「片ス」「一元」「割り込み」の絣の違いや見分け方
- 「マルキ」の見分け方
- 着物用語の算数(よみすう)とは・着物の柄との関係
泥染めは、奄美大島や久米島、八丈島だけで行われている珍しい技法です。
産地別の証紙の種類が多く、「マルキ」「絣の種類」「算数(よみすう)」の違いにより値段の違いがあります。
「証紙の違い」や「マルキ」「絣の種類」「算数(よみすう)」の見分け方を知り、大島紬の目利きに役立てましょう。
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黄八丈とは
黄八丈の産地の歴史
東京都八丈島で織られている、手織りの先染紬織の平織や綾織の絹織物の総称です。
八丈絹(黄八丈の元祖)を生産する島だから八丈島と呼ばれるようになりました。
黄八丈は1977年に国の伝統的工芸品に指定されています。
黄八丈の特徴
黄八丈には、黄色、鳶色、黒色の3色があります。
- 黄染め・・・八丈刈安で染めた糸を使用する。
- 鳶八丈・・・マダミで染めた糸を使用する。
- 黒八丈・・・泥染めで染めた糸を使用する。
黒八丈の泥染めは奄美大島や久米島、八丈島だけで行われている珍しい技法です。
黄八丈織物協同組合以外では、「黄八丈めゆ工房」の山下家の黄八丈は別格の存在で貴重で人気があります。
「黄八丈めゆ工房」の山下家の黄八丈の特徴
- 使われている糸の違い
- 糸の染め
- 糸の組み合わせや織りの種類
黄八丈織物協同組合とは別格の「黄八丈めゆ工房」の山下家の黄八丈の特徴を知り、黄八丈の目利きに役立てましょう。
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黄八丈とは 八丈島の本場黄八丈めゆ工房で使われている糸の特徴や染めや織りなど
牛首紬とは
牛首紬の産地の歴史
日本3霊山の1つ、石川県の白山山麓の旧白峰村牛首近辺で織られている平織の絹織物です。
牛首紬は、日本3大紬の1つで、経済産業大臣指定伝統工芸品に指定されています。
*日本3大紬・・・大島紬、結城紬、牛首紬(塩沢紬の説もあります)
牛首紬の特徴
牛首紬の定義
- 緯糸すべてに「玉糸」を使用する。
- 先染めの経糸、緯糸を使用する。
現在では先染めの牛首紬の生産量は少なく牛首紬の中でも貴重な織物になっています。
牛首紬の白生地は、「日本一高い白生地」としても有名です。
釘に引っ掛けても破れるどころか、釘を引き抜くほど丈夫だと言われていたことか「釘抜き紬」とも呼ばれていました。
丈夫で滑りが良く、光沢感が特徴の紬織物です。
牛首紬には先染織物や後染め、夏牛首紬などの種類があります。
また、同じ石川県で作られている白山紬との違いを知り、牛首紬の目利きに役立てましょう。
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牛首紬とは 牛首紬の着物や帯の特徴や白山紬との違い 先染めの牛首紬について
白山紬とは
白山紬の産地の歴史
金沢市内で「白山紬」という名称で生産されています。
白山紬(はくさんつむぎ)は、もともとは石川県白峰村で織り出された紬で現在の牛首紬と同じ起源でした。
白山紬の特徴
白山紬は、機械動力式の織機である力織機(りきしょっき)で織られている紬織物として、登録商標されています。
牛首紬と地風が似ていると言われていますが、白山紬には人工的に作られた節糸が使われています。
白山紬と牛首紬の違いを知り、目利きに役立てましょう。
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築城則子の小倉織 小倉縞とは
築城則子の小倉織 小倉縞の歴史
早稲田大学文学部中退し染織を志して、久米島、信州などで紬織を学ばれています。
- 1984年・・・小倉織復元
- 1994年・・・小倉縮復元
- 1995年・・・遊生(ゆう)染色工房設立
東京国立近代美術館、北九州市立美術館、Victoria and Albert Museum(ロンドン)に作品が収蔵されています。
築城則子の小倉織 小倉縞の特徴
築城則子さんの小倉縞は緯糸に対して3倍の経糸を使用しています。
経糸の密度を上げることで、しなやかさと艶を兼ね備えた「小倉縞」を実現されました。
小倉縞は、木綿とは思えないほどの繊細な糸の美しさや、豊富な色のグラデーションが印象的な織物です。
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世界に広がる築城則子先生の小倉縞(小倉織)を知っていますか?
まとめ
気になる日本の織物はありましたか。
各産地別に歴史や特徴、値段、証紙の見分け方など目利きに役立つ情報や、お手入れ方法などの詳細記事をご紹介しておりますので、是非、ご覧になってください。
呉服屋での無理なセールスが原因で、興味のある着物が嫌いになることもあります。
その場の雰囲気や強くおすすめされることで、欲しくもない着物を購入することほど後悔することはありません。
良い着物はやはり値段も高いです。
値段に関わらず、自分が納得のいく買い物ができるように、着物の知識をつけることをおすすめします。
着物の知識をつけて、着物を楽しみましょう。
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夏ならではの織物の特徴を知ることで、夏着物の楽しみ方に広がりが出てきます。