着物のたたみ方や帯のたたみ方が分からず、教えてほしいと思っている方もいると思います。
着物や帯は保管するときに正しく畳んでいないと皺の原因となり、刺繍や金箔などの加飾部分を傷めてしまう場合があります。
着物や帯を綺麗にたたんで保管することで、次回も気持ちよく着ることができ着物を長持ちさせることにもなります。
基本通りに縫い目や折り目に添ったたたみ方を覚えれば、簡単にたためるようになります。
今回は、着物(訪問着、振り袖など)、帯(袋帯、名古屋帯)長襦袢、羽織、コート、肌襦袢、帯締め、帯揚げ、腰紐などのたたみ方を、男物や子供の着物を含め初心者にも分かりやすくまとめてみました。
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着物の収納前にやっておきたい着物クリーニングやたたみ方 お手入れの基本
- 着物をたたむときに共通する基本ポイント!
- 着物のたたみ方の種類
- 着物のたたみ方 本だたみ(ほんだたみ)
- 振袖のたたみ方
- 着物のたたみ方 袖だたみ(そでだたみ)
- 留袖などのたたみ方 夜着だたみ(よぎだたみ)
- 長襦袢のたたみ方 襦袢だたみ(じゅばんだたみ)
- 振袖の長襦袢のたたみ方
- 羽織のたたみ方 羽織だたみ(はおりだたみ)
- たとう紙の便利な賢い使い方
- 紙のメリットデメリット
- 着物、長襦袢、コート、羽織のたたみ方ポイントまとめ
- 帯をたたみむ時の基本ポイント
- 袋帯のたたみ方
- 名古屋帯のたたみ方
- 表を内側にたたむ方法もあります
- 帯締めの収納の仕方 房を綺麗に保つ結び方
- 帯揚げのたたみ方
- 下着のたたみ方
- 腰紐の5角形のたたみ方
- 帯、肌襦袢、帯締め、帯揚げ、腰紐などをたたむポイントまとめ
着物をたたむときに共通する基本ポイント!
着物を扱う時は、まず場所や手を綺麗にしておくことが大切です。
- まず手を洗い綺麗な手で着物や帯を扱いましょう。
- 着物をたたむ前に、床や畳を綺麗にしましょう。
- 明るい綺麗な場所で着物を広げ畳みましょう。
- 着物に汚れがつかないように、たとう紙を敷いた上で畳みましょう。
- 着物や長襦袢、羽織を畳むときは、左手側に衿、右手側に裾がくるように置きましょう。
- 手の甲で空気を抜いて皺を予防しましょう。
- 紋や刺繍、金箔などの装飾部分には、薄紙をあてて保護しましょう。
着物を扱う時はハンドクリームが手についていないかも忘れずにチェック!
まず手洗いをすることを習慣にしておきましょう。
着物のたたみ方の種類
着物にはいくつかの種類がありますが、それぞれの種類の適したたたみ方があります。
箪笥の大きさにもよりますが、出来るだけ大きく畳んだ方が着物に余分が皺が付かず綺麗に保管することが出来ます。
また、きものや羽織は、衿の折り返しの部分の折り目通りに折りたたむことが、衿を綺麗にたたむポイントになります。
- 本だたみ(ほんだたみ)・・・着物のたたみ方の中でも、最も一般的な着物の基本的なたたみ方で、初心者の方にまずおすすめほとんど全ての着物がこのたたみ方を使います。
- 袖だたみ(そでだたみ)・・・仮のたたみ方で、外出先などで一時的に簡単にたたむ場合や狭い場所で着物をたたむときにも便利なたたみ方です。着物以外にも羽織、コート、長襦袢などにも使えます。
- 夜着だたみ(よぎだたみ)・・・着物の皺を最大限に抑えることが出来るたたみ方で、留袖や男物の紋付き、刺繍や箔などの加飾のある訪問着などやお宮参りなどの子供のきものをたたむときに使います。
- 襦袢だたみ(じゅばんだたみ)・・・長襦袢やコートなどを畳むときに使います。
- 羽織だたみ(はおりだたみ)・・・羽織をたたむときに使います。女物、男物、子供用など全て同じたたみ方です。
着物のたたみ方 本だたみ(ほんだたみ)
本だたみは、着物のたたみ方の中でも、最も一般的な着物の基本的なたたみ方で、初心者の方にまずおすすめの畳み方です。
長着(ながぎ)の女物、男物、単衣(ひとえ)、袷(あわせ)、浴衣に本だたみを使い、染めや織りを問わず、振袖、訪問着、付下げ、小紋、色無地、紬、浴衣、喪服など、ほとんど全ての着物がこのたたみ方を使います。
本だたみで畳むと市販のたとう紙や風呂敷などに、ぴったりと収まります。
和箪笥の引き出しのサイズにも合うことから、最近では留袖なども本だたみで畳むことが多くなっています。
- 衿を左にして着物を広げます。
- 下前(右の身頃)の脇縫いの縫い目に添って折り曲げます。
- 妻下から胸の部分辺りは、縫い腺部分ではなく元の折れ線にあわせて畳みます。
左側の身頃はくしゃくしゃになっていても良いです。
- 下前(右の身頃)の衽を衽線に沿って折り返します。
- 下前(右の身頃)の衽の上に、上前(左側の身頃)の衽を重ねあわせます。
- 上前(左側の身頃)の脇縫い線を両手で摘まみ上げ、下前(右の身頃)の脇縫い線に重ねます。
- 背中心を折り目とし、上前(左側の身頃)の脇縫い線と下前(右の身頃)の脇縫い線が重なりました。
ポイント!
この時に、 中心から端に向かって空気を抜くと皺がよりにくくなります。
私は指の甲を使ってサッと空気を抜くようにしています。
- 上前(左側の身頃)の衿と下前(右の身頃)の衿を合わせます。
- 衿肩あきと衿先を引っ張り、まっすぐに伸ばします。
- 衿肩あきの部分で衿を内側にたたんで折ります。
- 既に付いている三角の折り線の通りに折り、角をきちんと出します。
ポイント!
三角の角をきちんと出すように折ると、衿がを綺麗にたたむ事が出来ます。
- 上前(左側の身頃)の衿と下前(右の身頃)を重ね、左右の袖も重ねます。
- 上から下に向かって空気を抜いておくと、皺予防になります。
- 重なっている左袖の袖付けを折り返し、身頃の上に重ねます。
- 裾を摘まんで衿の方向へ滑らすようにして、折り返します。
- 既についている折れ線を目安に折り返します。
- 折る目安は、衿先を折らないように全体の半分になるくらいの位置で、すでに折り線が付いている場合は、折り線が目安になります。
ポイント!
折り線は必要最低限にしましょう。
ポイント!
裾部分は揃えようとしないで、ずらしておいてください。
- 身頃の重なり部分と右袖を合わせて摘まみます。
- 持ち上げるようにして、右袖を一番下に入り込むように折り返します。
もちろん両手で行います。
これで、本だたみで綺麗に着物を畳むことが出来ました。
縫い線やすでに付いている折れ線に添って畳めばいいので簡単に畳むことが出来ます。
基本の畳みかたよりも、小さいサイズのたたみ方
- 屏風たたみのように3つ折りにして小さくたたむみます。
- 折れ線が多いほど皺ができやすくなるので、空気を抜くことに意識して畳むようにしましょう。
箪笥以外での収納の場合、基本の2つ折りの畳たたみ方では収納出来ない場合があります。
そのような時は、収納スペースに応じて着物に無理がかからないようなたたみ方を工夫してみましょう。
移動時に便利な小さくコンパクトなたたみ方
- 基本のたたみ方にたたんだ後、更に3つ折りにします。
- 袖部分は1か所だけ折るようにします。
これで、着物を簡単に持ち運ぶことができますね。
本だたみのたたみ方 私流の時短のたたみ方
- 右袖を身頃の下になるように、袖付け線で折り差し込んでおきます。
- この状態で、基本のたたみ方と同じ手順で畳んでいきます。
基本の本だたみのように最後に右袖を1番下に織り込むと、全体的にズレたような状態になることが気になっていました。
着物を持ち上げることが全体がズレる原因なので、初めに右袖を織り込んでおくことで持ち上げる必要がなくなりました。
振袖のたたみ方
着物の本だたみと同じ手順でたたんでいきます。
- 衿先を折らないようにたとう紙の大きさに合わせて半分に折ります。
- 袖は1か所だけ折ります。
- 1番下になっている右袖も折り返しておきます。
着物のたたみ方 袖だたみ(そでだたみ)
本だたみの場合での仮のたたみ方で、外出先などで一時的に簡単にたたむ場合に使います。
狭い場所で着物をたたむときにも便利に活用できるたたみ方です。
長着(ながぎ)の女物、男物、単衣(ひとえ)、袷(あわせ)、浴衣、染めや織りを問わず、振袖、訪問着、付下げ、小紋、色無地、紬、浴衣、喪服などの着物に使えます。
着物以外にも羽織、コート、長襦袢などにもこのたたみ方が使えます。
- 左右の外袖部分が合うように両袖を合わせ、袖山と片山を重ねます。
- 背中心を外表になるように左右の後ろ身頃を合わせ、左右の脇縫いや衿を重ねます。
- 背中心は外表になります。
ポイント!
背中心は本だたみの時とは反対に折ることになります。
- 重ねてある左右の袖2枚を、袖付け部分で折り身頃側に重ねます。
- 片山と袖山を重ね整えます。
- 衿先を折らないように半分に折ります。
- 更に小さく1/2や1/3の大きさに折りたたみます。
- 持ち運びやすいように好みのサイズに折りましょう。
留袖などのたたみ方 夜着だたみ(よぎだたみ)
着物の皺を最大限に抑えることが出来るたたみ方です。
留袖や男物の紋付き、刺繍や箔などの加飾のある訪問着などは、紋や加飾模様を傷めないように夜着だたみを使います。
お宮参りなどの子供のきものをたたむときにも使います。
最近では見かけなくなりましたが、綿が入って厚みがある夜着や丹前(たんぜん)などのたたみ方にも使われていました。
留袖や刺繍などの豪華な加飾がある着物の場合でも、最近では収納スペースに合わせて、本だたみでたたむことが多いです。
夜着だたみは、一時的に着物を保管する場合の仮のたたみ方として便利なたたみ方です。
- 下前(右の身頃)の脇縫い線を内側に折って整えます。
- 上前(左側の身頃)を下前(右の身頃)の上に重なるように折り重ねます。
- 衿肩あき目安の衿を内側に折りこみます。
- 紋が付いているところには、薄紙を当てて汚れを防ぎます。
- 右袖、左袖の順に、両袖を袖付き線の部分で身頃の上に折り重ねます。
- 外袖についている紋にも薄紙を当てておきます。
- 裾模様に刺繍や箔がある場合は、薄紙を当てて保護しておきます。
- 半分に折る時に「きもの枕」を挟んでおきます。
- 身頃の半分を目安に折りたたみます。
- 「きもの枕」は糊を落とした白布で作ったものや、紙を丸めて棒状にした物を使います。
- 後ろ見ごろにある模様にも薄紙を当てて保護します。
- 更に半分に折りたたみます。出来るだけ皺が寄らないように「きもの枕」を持ち上げて
ポイント!
半分に折り重ねた時に挟んだ「きもの枕」を持ちあげてたたむと皺が寄りにくくなります。
長襦袢のたたみ方 襦袢だたみ(じゅばんだたみ)
長襦袢やコートなどを畳むときに使います。
道行コートを畳むときはホックなどは外しておき、ホックの跡が付かないように紙を当てておくことをおすすめします。
- 夜着だたみと同じように左右の脇縫い線で右の身頃から順に折り重ねます。
- 衿肩あきを山にして折り跡の通りに折り重ねます。
- 右の脇縫い線が身頃の中心(背中心)にくるように折り重ねます。
- 袖口の部分を折端の線に揃えます。
- 左側の身頃も同じように折り、左袖は右袖の上に同じように折り重ねます。
- 袖を折らないように半分に丈を2つ折りに重ねます。
衣紋抜きの布が撚れていないか確認することを忘れないでね。
振袖の長襦袢のたたみ方
- 通常の長襦袢のたたみ方と同じ手順でたたみます。
- たとう紙の大きさに合わせて、半分に折ります。
- 折り返す時に袖の部分が崩れやすいので手際よく折り返します。
羽織のたたみ方 羽織だたみ(はおりだたみ)
羽織を畳むときに使います。
女物に限らず、男物や子供用など全て同じたたみ方です。
衿の部分が厚くなっているので白紙や白布を挟んでおくと、衿の厚みでの皺が付きにくくなります。
- 左右の脇を襠幅(まちはば)の中心で折ります。
- 羽織の衿先は「前下がり」といって脇から衿に向かって斜めに長くなっています。
- 後ろ身頃よりも衿先部分の「前下がり」がはみ出ている状態が正しい状態です。
ポイント!
衿先の「前下がり」と後ろ身頃を合わせようとしないでね。
- 左の衿を右の衿に重ねます。
- 羽織紐は女性の一般的な組紐の物の場合は付けたままで良いです。
- 男性の環(かん)で付けるタイプの羽織紐の場合は、外しておきます。
- 着物の本だたみと同じように衿肩あきを山に内側に折り、三角の角を綺麗に出し整えます。
- 衿肩を折りこんだ部分に紙を挟んでおくと、袖に跡が付くのを防ぐことが出来ます。
- 左の襠の中心を持ち、右の身頃に重ねます。
- 左袖を左の身頃に折り重ねます。
- 袖を折らないように折り重ねます。
- 羽織丈が短い場合は、折らずに伸ばした状態にしておきます。
- 全体を持ち上げて右袖を1番下に折り返します。
着物の本だたみと同じようなたたみ方だから分かりやすいです。
たとう紙の便利な賢い使い方
中についている紐は、結ぶと着物に結び目の跡が付くこともあるので、結ばないでそのままにしておいた方がいいです。
必要のない場合は鋏で切っておいても良いです。
たとう紙は1,2年ごとの交換をおすすめします。
長く同じたとう紙を使っていると「たとう紙やけ」といって、たとう紙についた染みや汚れが着物に移ってしまうことがあります。
たとう紙は着物のサイズに合わせて、必要な長さや幅に折って使うと便利です。
たとう紙には「窓あき」のように、中に入っている着物が分かるようになっているものがありますが、窓あき部分から入る光によって着物が「やける」ことがあります。
着物の「やけ」を防ぐためにも、「窓あき」部分を塞ぐように中に紙を当てておくことをおすすめします。
たとう紙の表面に着物の写真や説明書きをしておくと、中を確認しなくても必要な着物を探し出すことができ便利です。
紙のメリットデメリット
着物の皺予防に着物を畳み時に薄紙を挟むことがありますが、薄紙に対してのいろいろな考え方があります。
メリット
最大の目的は、着物の撚れによる皺予防です。
柔らか物の着物の場合、特に上質な生地になればなるほど、どうしても生地が動きやすいです。
綺麗にたたんでも動かすことで皺が出来る場合がありますが、着物の間に薄紙を挟んでおくと生地が動きにくくなり皺予防になります。
デメリット
絹の着物には湿気はカビの原因になりますが、紙が挟んであることで湿気を寄せてしまうことになります。
私は必要以上に薄紙を使うことは控えています。
また、たとう紙の中に厚紙を敷いて持ち運びしやすいように配慮していある場合がありますが、その厚紙から臭いがします。
段ボールの臭いがするのと同じ感じです。
私はこの厚紙の臭い(ガス)は着物に良くないと聞いたので、すぐに取り外しています。
着物、長襦袢、コート、羽織のたたみ方ポイントまとめ
直線裁ちのきものは、四角く畳むことで綺麗に収納することが出来ます。
たたみ方の手順は人によって個人差がありますが、目安となる基本的な着物のたたみ方を覚えておくことをおすすめします。
まずは最も頻度の高い、着物の「本だたみ」、長襦袢の「襦袢だたみ」を覚えることをおすすめします。
- 既についている折り跡を利用して畳むと簡単にたたむことが出来ます。
- 手の甲で空気を抜いて皺を予防しましょう。
- 必要以上に折り線を付けないようにしましょう。
何度も繰り返し行うことで、自然に簡単にたたむことが出来るようになります。
着物を綺麗にたたんで保管することで、次回に着物を着る時に気持ちよく、そして着物を着ることが益々楽しみになります。
帯をたたみむ時の基本ポイント
まず、着用後の体温の残っている状態の時に、すぐに手で皺を取ります。
体温が残っている状態の時に手で皺を取ることで、着用時の皺は簡単に取ることが出来ます。
帯をたたむ前に体温や湿気を取り除くために、直射日光をさけて風通しの良い場所で一晩くらい吊るしておきますが、吊るす前に着用時についた皺を取っておくことが大切です。
繰り返しになりますが、帯をたたむときに最も大切なことは、前柄とお太鼓部分に折り目を付けないことです。
自分の前柄とお太鼓部分を確認し、袋帯や名古屋帯をたたみましょう。
袋帯のたたみ方
袋帯にはいくつかのたたみ方がありますが、手で軽く皺を伸ばしながら、たたんでいきます。
袋帯の一般的なお太鼓部分に響かないたたみ方をご紹介します。
八つ山の袋帯のたたみ方
袋帯のもっとも一般的なたたみ方です。
細帯も同じたたみ方でたたみます。
帯の端と端を合わせて、3回重ねて折るシンプルなたたみ方です。
簡単な方法なので初心者の方でも綺麗に袋帯をたたむことが出来ます。
外表でたたむ場合が多いと思いますが、裏側を表に中表にたたむと帯の表が汚れにくくなります。
- 帯を広げてたれ先と手先を合わせて、2つ折りにします。
- 折り返しの所に着物枕や真綿の棒、薄紙を丸めたものなどを挟んでおくと皺が防げます。
- 帯に箔や刺繍がある場合は、その部分に薄紙を当てて保護しておくと安心です。
- さらに半分に折ります。
- 最後に3回目、もう一回折るとたとう紙に入る長さになります。
屏風だたみの袋帯のたたみ方
山折と谷折を繰り返しおこない、たたんでいく方法を「屏風だたみ」といいます。
屏風だたみは、表地と裏地のずれが少なく生地の釣り合いを保てるというよさがあります。
デメリットとしては、全ての折れ線がきつく付いてしまうことです。
自分で行う時は均等な幅に折るのは難しいと思います。
こちらの袋帯は仕立て後に屏風だたみで収められたので、折れ線の通りに屏風だたみで保管しています。
お太鼓に折れ線が出ない袋帯のたたみ方
お太鼓の長さの端と端を合わせて折る八つ山のたたみ方では、着物を着る人のサイズによってお太鼓部分に折れ線が出てしまう場合があります。
基本の八つ山のたたみ方のような端と端を合わせて3回折りたたむ方法ではなく、たれ先50㎝を出した状態で折り重ねると、高い確率でお太鼓部分に折れ線が出来ません。
私が袋帯のたたみ方で1番良いと思うたたみ方が、このたたみ方です。
実際に通常の折り重ねる八つ山のたたみ方では、お太鼓部分に折れ線が出たことがありますが、こちらのたたみ方では折れ線が出たことはありません。
ちなみに、お太鼓部分に折れ線が出てしまった時は、着物を着なれた方から残念そうに「帯が泣いているね」とさりげなく教えていただいたことがあります。
それ以降は、特にお太鼓部分に折れ線が出ないように気を使っています。
- たれ先50㎝を出して半分に折りたたみます。
- 半分に折りたたんだ部分をさらに半分に折りたたみます。
- 写真では2回目の折りたたみは、裏側にたたんであります。
- 3回目は表側に折りたたみます。
- たれ先50㎝を折り重ねた帯の上に、折り重ねます。
名古屋帯のたたみ方
名古屋帯は仕立方に様々なバリエーションがあり、仕立方によってもたたみ方が異なってきます。
こちらでは、名古屋帯の一般的なお太鼓部分に折り目が響かないたたみ方をご紹介します。
時代の古い名古屋帯の場合は寸法が短いものがあったり、現代の名古屋帯でもお太鼓柄や前柄の位置が様々な場合があります。
自分の寸法にあった方法で、前柄やお太鼓部分の柄に折り目が付かないように様子を見ながらたたみましょう。
名古屋仕立ての名古屋帯のたたみ方
胴に巻く部分を半分に折って仕立ててある、通常の名古屋仕立てのたたみ方です。
お太鼓部分と胴の部分とでは厚みが違うので、たたんだときに厚みが均一になるように折り重ねると、余分な皺が付くにくくなります。
- 縫い止まりが左に来るように名古屋帯を広げます。
- 前帯とお太鼓の境にある縫い止まりを3角に折ります。
- 手先をたれ先に向けて折り、たれの端に揃えます。
- 手がたれ先に届いたらたれの端に添って直角に折り曲げます。
- さらに手を直角に3角に折り、手先を左側に流します。
- 左側の縫い止まりの手前で手先を内側に折り返します。
- 左側の縫い止まりの3角形を内側に折り返します。
- 右側の3角形部分と垂れを内側に折り返します。
- 垂れ先を内側に折り返して終了でもいいです。
- その場合は着物用のたとう紙を用いると大きさが合います。
- さらに半分に折りたたむとコンパクトに小さいサイズになります。
松葉仕立ての名古屋帯のたたみ方
- 縫い止まりが左に来るように名古屋帯を広げます。
- 縫い止まりの3角を整えながら、手先を上に流します。
- 上に流した手先をさらに3角に整え、帯の垂れに重ねます。
- 手先を縫い止まりの上に重ねる場合もあります。
- 帯を半分に折ります。
- さらに半分に折ります。
- 収納スペースに合わせて、必要な場合はさらに半分に折ります。
- 上の写真ではお太鼓や前柄を考慮して、3等分に折りたたんでいます。
名古屋帯の場合はお太鼓や前柄の位置が様々です。
ポイント柄がある場合は柄の位置が分かりやすいのですが6通や全通の場合は、目安としてたれ先から65㎝程の位置がお太鼓の中心と覚えておくと良いです。
額縁仕立ての名古屋帯のたたみ方
額縁仕立ての名古屋帯の場合は、袋帯と同じたたみ方でたたみます。
袋帯の長さは約420㎝、名古屋帯の長さは約360㎝なので、前帯やお太鼓部分に折り目が付いてしまう場合があります。
そのような場合は、手先を20㎝ほど出してからたたむと、柄の部分に折り目が付かなうなります。
あくまでも目安なので、自分の寸法での前帯やお太鼓部分の位置を確認しておきましょう。
表を内側にたたむ方法もあります
一般的には表の生地を外側にして外表でたたみます。
大事な表側に汚れや傷がつかないようにする場合は、表の生地を内側にする内表でたたむ方法がおすすめです。
帯締めの収納の仕方 房を綺麗に保つ結び方
帯締めの房が広がっていると美しい着物姿も台無しになってしまいます。
房が整っていると新しく清潔な印象を与えてくれます。
使用ごとのひと手間で房を綺麗な状態で保つことが出来るので、習慣にすることをおすすめします。
輪ゴムなどのゴム素材から発生するガスによって、帯締めに使われている金糸などが反応することで変色の原因になります。
ゴム素材は使わないようにしましょう。
房を帯締め本体で結ぶ方法
- 両房を揃えて2つ折りにします。
- 折り端の輪の部分を持ち帯締めを束ねるように輪を作って囲みます。
- 結び目の中に房が入るように整えます。
- 結び目を締めて緩まないようにします。
- 房の根本部分に結び目を合わせます。
結び方を覚えてしまえば、薄紙などで巻いておく必要がないので便利です。
デメリットは収納時にかさばることです。
帯締め自体でまとめることが出来るので、外出時には便利な方法だと思います。
100均のケーブルチューブを使う方法
- 100均に売っているプラスチックのケーブルチューブを使います。
- 帯締めの太さに合わせて、ケーブルチューブの太さを選びます。
- 通常の帯締めの場合は太いサイズがちょうど良いサイズです。
- 細いサイズは3分紐に使っていますが、少し余裕があります。
- 房全体を覆う長さ、約にカットします。
- 房の部分にはめ込んで房が収まる所まで移動させます。
何度でも簡単に取り外しができるのでお勧めの方法です。
ケーブルチューブの角が気になる場合は、鋏で丸くカットすると帯締めを傷める事が無くなると思います。
均一な幅なので、自宅での収納も便利だと思います。
帯揚げのたたみ方
体温にぬくもりや湿気があるうちに手で軽く皺を伸ばしてから、室内の風通しの良い場所干しておきます。
- 体温や湿気がなくなってから綺麗にたたみます。
- 皺が付いている場合は手で伸ばしながらたたみます。
下着のたたみ方
- 襦袢だたみと同じように左右の脇縫い線で右の身頃から順に折り重ねます。
- 右の脇縫い線が身頃の中心(背中心)にくるように折り重ねます。
- 袖口の部分を折端の線に揃えます。
- 左側の身頃も同じように折り、左袖は右袖の上に同じように折り重ねます。
- 丈を半分に2つ折りに重ねます。
腰紐の5角形のたたみ方
腰紐や伊達締めなどの着物を着るために使う紐類は、基本的には洗いません。
特に博多織の伊達締めは洗うと張りが無くなるので、自分で洗うことは避けた方が良いです。
腰紐をたたむときは5角形に折る方法がおすすめです。
皺が伸びることで紐の幅が確保でき、次回の着付けの時にも取り出しやすく使いやすい状態になります。
- 紐の皺を伸ばして半分に折ります。
- 端の部分を重ねて斜めに折ります。
- 隣り合った角同士を合わせるように、折り重ねていきます。
- 繰り返して、5角形になるように折り重ねていきます。
- 折り終りの輪の部分を差し込んで終了です。
帯、肌襦袢、帯締め、帯揚げ、腰紐などをたたむポイントまとめ
- 着用後の体温の残っている状態の時に、すぐに手で皺を取ります。
- 体温が残っている状態の時に手で皺を取ることで、着用時の皺は簡単に取ることが出来ます。
- 帯をたたむ前に体温や湿気を取り除くために、直射日光をさけて風通しの良い場所で一晩くらい吊るしておきますが、吊るす前に着用時についた皺を取っておくことが大切です。
- 帯をたたむときに最も大切なことは、前柄とお太鼓部分に折り目を付けないことです。
- 自分の前柄とお太鼓部分を確認し、袋帯や名古屋帯をたたみましょう。
今回は、名古屋帯のたたみ方を中心にご紹介しましたが、仕立て先によっては様々なたたみ方がされていると思います。
帯のたたみ方や着物のたたみ方にも共通して言えることですが、私は、折り目を増やさないことを最優先に考えて、初めにたたまれている通りにたたむようにしています。
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