きもの文化検定の中でも1級の合格率は低いことで有名です。
1級の合格率の低さを知ったことで、きもの文化検定自体への壁が高く感じることが多く、その時点で全て諦めてしまうこともあるようです。
私自身も、きもの文化検定に興味があっても受けない理由を考えた時期がありました。
しかし、とにかくチャレンジすることに決め、目標の1級に合格した今いえることですが、「真剣に勉強に取り組んで良かった」ということです。
今回は、きもの文化検定の直接的なメリットや間接的なメリットについてまとめてみました。
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きもの文化検定とは
「きもの文化検定」は、着物を学ぶことで日本の着物文化への理解を深め、着物に親しんで楽しむことを目的とされています。
2006年に第1回きもの文化検定の4級が行われ、2009年の第4回きもの文化検定では4級から1級が、第6回の2011年には準2,1級が設けられています。
現在1級受験は、複数回の受験が可能です。
試験の概要
名称 | きもの文化検定 |
主催 | 社団法人全日本きもの振興会 |
後援 | 経済産業省、農林水産省、文化庁 |
監修 | きもの文化検定審議会 |
企画実行 | きもの文化検定委員会 |
きもの文化検定審議会
座長 | 千 玄室 | 裏千家宗匠 |
委員 | 池坊 専好 | 華道家元池坊次期家元 |
委員 | 稲盛 和夫 | 京セラ(株)名誉会長 |
委員 | コシノジュンコ | ファッションデザイナー |
委員 | 小林 芳雄 | (一財)大日本蚕糸会会頭 |
委員 | 芳賀 徹 | 静岡県立美術館館長 |
委員 | 冷泉貴実子 | (公財)冷泉家時雨亭文庫常務理事 |
受験資格・・・学歴、年齢、性別、国籍を問わない。
受験過程・・・5級から受験し、合格をもって順次上位級を受験する。
試験日時・・・石川での受験は終了しています。
春日程 | 5,4級 | 東京、京都、福岡 |
秋日程 | 5,4,3,2,1級 | 仙台、東京、名古屋、京都、大阪、奈良、岡山、広島、福岡、沖縄 |
検定内容
5級 | きものに関する一般常識、初級知識の習得 | 60%以上70%未満正解 |
4級 | きものに関する一般常識、初級知識の習得 | 70%以上正解 |
3級 | きものに関する中級知識の習得 | 70%以上正解 |
2級 | きものに関する上級知識の習得 | 70%以上正解 |
1級 | きものに関する専門級知識の習得 | 70%以上正解 |
受験内容・・・おおまかな受験内容になります。
5,4,3 級 | 着物、帯、小物 |
羽織とコート | |
男の着物 | |
子供の着物 | |
着物の主な産地と特徴 | |
着物の歴史 | |
素材と夏物 | |
浴衣 | |
基本的なコーディネート | |
日本の色 | |
着物の文様 | |
紋 | |
着物を着るときに必要なもの | |
着物の各部の名称 | |
収納と手入れ | |
美しい立ち居振る舞い |
2級 | 染めと織りの産地 |
染めと織りの工程 | |
糸と白生地 | |
日本の伝統色 | |
着物の歴史と模様 | |
仕立て、小物、悉皆 |
1級 | 着物に関するすべての範囲 |
試験方式・・・5,4級と3級の併願が可能(4級が不合格の場合は3級の得点に関わらず、3級に受験は無効となる)
5級~3級 | マークシートによる4肢択一方式 |
2級 | 文言選択、記述方式 |
1級 | 文言(語彙)記述、文章記述方式 |
合格対策セミナー・・・各年の試験内容に合った試験対策になっています。
各コースともに先着順により、定員になり次第締め切られます。
3級対応コース | 例)染め、織り、悉皆 |
2級対応コース | 例)織りの産地とその特徴 |
例)仕立て、悉皆、染めの着物 | |
1級対応コース | 例)仕立て |
例)小袖の歴史 | |
例)西陣織と紋織物 | |
例)小紋、型染 |
年度別合格率
5,4級 | 3級 | 2級 | 1級 | |
第13回・ 2018年度 | 80% | 50% | 48% | 18% |
第12回・ 2017年度 | 77% | 46% | 37% | 6% |
第11回・ 2016年度 | 82% | 62% | 54% | 19% |
第10回・2015年度 | 80% | 43% | 15% | 7% |
第9回・2014年度 | 85% | 44% | 40% | 21% |
過去5年間の合格率はこのようになっています。
5,4級は平均80%を中心とした合格率です。
3級は第11回の62%は高い合格率ですが、その他では平均46%の合格率です。
注目は2,1級の合格率で、かなり合格率に差があります。
流れとしては、奇数回では高確率が高く偶数回では合格率が低くなっていて、2級では最大30%、1級では最大15%もの差があります。
これだけ合格率に差があるのは問題があるように思いますが、合格率の高い奇数回を狙って受験するのも1つの方法だと思います。
勉強することのメリット4つ
きもの文化検定に限らず、勉強をすることの大切さを知っておくことが肝心です。
きもの文化検定にチャレンジされる方の年齢は全体的に高めで、40代50代60代の方が多いですが、皆さん真剣に試験に向き合っています。
このような年代で、本格的に勉強に取り組む機会はあまり多くないように思いますが、勉強をすることの大変さや合格しなかった時の恥ずかしさが先行し、勉強に取り組むことをためらっている方には、きもの文化検定に限らず勉強をすることの楽しさを知っていただきたいです。
自分自身が成長するために、勉強することのメリットとして4つのことを挙げてみました。
勉強するメリット1つ目・・・選択肢が広がる。
1つのことを勉強すると知らない事がどんどん出てきて、更にいろいろな事に興味が出てきます。
今までに知らなかった世界を知るきっかけにもなり、興味の範囲も増え視野が広がります。
視野が広がるということは選択肢が広がることに繋がります。
勉強するメリット2つ目・・・トラブルへの対応が出来る。
例えば何かの疑問やトラブルに合った時、どのように解決しますか?
自分自身に智識があれば、自分自身で解決できる、あるいは自分自身で解決する方法や手段が分かる、考えることが出来ることが1番の強みになります。
1つの知識よりも多方面の知識があると、その情報を必要に応じて組み合わせ対応することが出来ます。
基本的な基礎知識やさらに深い専門的を身につけると、様々な角度から物事を判断することが出来るようになります。
勉強というのは、暗記や計算問題など繰り返し同じ作業を行っています。
この繰り返しの同じ作業を積み重ねることで、知らないうちに物事に耐えることが出来る力であるストレス耐性が身につきます。
勉強は知識を身に着けると同時にストレス耐性を身につけるという意味でも、とても重要なことになります。
勉強するメリット4つ目・・・信用を得ることが出来る。
資格や学歴がその人の人格までも表すとはいえませんが、資格や学歴は短時間に個人を知る材料になります。
専門分野において勉強をし知識を深めることは、手っ取り早くまず信用を得るための1歩としての手段なのだと思います。
きもの文化検定のメリット7つ
きもの文化検定の勉強をして着物に関する専門知識を得ることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
きもの文化検定のメリット7つをご紹介します。
きもの文化検定のメリット1つ目・・・着物文化に精通することが出来る。
着物の文化を改めて集中して勉強することで、着物に関する知識が深い部分で身につきます。
私がそうであったように、着物好きで着物に興味を持っていたとしても、自分の興味のある部分のみの関心になったり、長い記憶として落とし込むことは難しいです。
きもの文化検定は、しっかりと着物の知識を身につけるきっかけになってくれます。
また、着付け教室での知識と比べても、きもの文化検定での学びの方がより多くの知識を身につけることが出来ると思います。
以前、「習っている着付け教室の高等科のレベルときもの文化検定の1級のレベルは同じなのよ」と言われたことがありますが、全くそのようには感じません。
それならば、「きもの文化検定にチャレンジすればいいのに」と思い、着物に向き合い、着物の勉強に取り組む気持ちがないのだなと感じました。
きもの文化検定のメリット2つ目・・・着物の種類や価値を見分けられるようになる。
ある程度着物の知識が身につけば着物の産地や価値か分かり、呉服屋へ行っても必要以上に不安に思うことも少なくなります。
着物の知識がある分かれば対応も違ってきますし、強引に押し付けられたとしても、上手にかわす方法も分かってきます。
囲い込み販売とまではいかないにしても、無理な販売方法はいまだに行われているようです。
「本当は欲しくなかったのに、押し売りされてしまった」ということがないように、納得できる買い物に着物の知識を活かしましょう。
着物の知識を身につけることは、自分を守るための強い味方になります。
着物の知識には季節の着物の装いや場に合った装い、季節の文様や文様の意味など、すぐに着物のコーディネートに困ったときや工夫したい時に生かせ、着物を着ることがより楽しくなります。
きもの文化検定のメリット3つ目・・・日本文化に関する基礎知識も得られる。
着物の文化には日本文化に共通することも多く、日本文化に関する基礎知識を得ることが出来ます。
日本文化の基礎知識をきっかけに、日常の生活の中での日本文化にも意識が向けられます。
私の場合は、きもの文化検定をきっかけに日本の文化への関心が強くなり、以前よりも日本文化が好きになりました。
きもの文化検定のメリット4つ目・・・きもの文化検定主催の工房見学に参加することが出来る
きもの文化検定のメリットとして、1番魅力的なことが工房見学への参加だと思います。
個人では見学する機会がないようなところへ行けることは、またとないチャンスです。
全国の着物好きな方々と知り合える良い機会でもあります。
きもの文化検定のメリット5つ目・・・記念パーティーで多くの着物仲間と会える。
合格者表彰式・記念パーティーでは着物通の方々の拘りの着物の装いを拝見することが出来ます。
皆さんパワフルで着物を存分に楽しんでらっしゃいます。
有名な卸問屋の方も参加されているので、自分が住んでいる地域のおすすめの呉服店を教えていただくこともできます。
私も、地元のおすすめの呉服店を教えていただきました。
着物関係の職人の方や和裁師の方も参加されているので、お話ができたら楽しそうですね。
きもの文化検定のメリット6つ目・・・着物関係の仕事に生かせる。
きもの文化検定の1級は着物に従事している人達にも、難しいと認識されています。
着物関係の仕事に生かせ、これから着物関係の企業への就職を考えている場合に有利になります。
きもの文化検定のメリット7つ目・・・異文化交流に生かせる。
外国の方との交流時に着物文化を活かすころが出来ます。
お互いの国の文化を紹介し合うことで、外国の方との交流を深めるきっかけになると思います。
きもの文化検定の特典
「きもの文化検定」では、合格された方を対象に合格者特典が設けられています。
意外と知らなかったり、知っているとお得な特典も含まれているので、上手に活用できると良いですね。
利用方法
きもの文化検定合格者特典協力店や施設のステッカーが目印です。
きもの文化検定合格者特典協力店や施設で、合格認定証を呈示すると特典を受けられます。
賞状型合格証ではなくカードタイプの合格認定証を呈示してください。
合格者特典は、合格認定証を呈示された本人に限り有効です。
特典期間
5級、4級、3級・・・特典の有効期間は1年間になります。
準2級から1級の合格者は、有効期限なく特典を利用することが出来ます。
全国の特典協力店・施設
全国を対象とし、ネットショップなどでも特典を受けることが出来ます。
- 着物や帯、小物などの商品や加工、お手入れの際の割引
- レストランやお食事処を利用の際の割引
- 無料着崩れ直しや着崩れ直しできるスペースの提供
- 施設利用の際の優待
終りに
「きもの文化検定を受けて何に生かせるの?」と思う場合もあるかもしれません。
何かメリットがあるからきもの文化検定の勉強をするのではなく、「着物が好きだから」「着物をもっと楽しみたいから」「着物のことをもっと知りたいから」で良いのではないでしょうか?
大人になってからの勉強や試験は確かに大変ですが、やらない理由を考えるのではなく、勇気をもってチャレンジする方が確実にプラスになると思います。
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